2024年 桜花賞&皐月賞 振り返り

クラシック初戦が終わりました。

あまり世代レベルという言葉を使うのは好きではないんですが、少なくともこのクラシック初戦はどちらもレースのレベルが高かったと思います。

桜花賞は阪神JFの2頭がそのまま来たのに対し、皐月賞は2歳G1に参加しなかった馬のワンツーとなりました。3着のジャンタルマンタルも5着のシンエンペラーも2歳G1で勝ち負けしながら年明けの重賞を使った馬で、これは競馬村の人々にとってもクラシックのローテにおいて考えさせられる結果ともなりそうです。

では、順番に振り返っていきます。
先に謝ると桜花賞はあっさりいきます。皐月賞が長くなります。たぶん。

ちなみに本記事は下記の予想記事を下敷きに書きます。


桜花賞

桜花賞はいいレースではありましたが、ほとんど驚きがなかったのであまり書くことは少ないです。

ちなみに馬券は負けました。

チェルヴィニア

惨敗でした。

能力はあるはずなんですが、やはり休みが長すぎましたね。この馬は別にイクイノックスとは違って直行を予定していたわけではなかったのですが、頓挫があって見送り。結果として長期の休み明けになってしまい、まるでこの馬の良さが出ませんでした。

調教を見てる感じは問題ないと思ったんですが、いまいちはじけなかったのは久しぶりのペースなのでしょうか。まぁ一戦たたいてよくなると思います。そもそも血統的に桜花賞よりオークスの馬だとも思いますし、オークスでは改めて狙いたいです。

ステレンボッシュ

1着。強かったです。モレイラも流石でした。

同じ牝系でもアーバンシックやレガレイラと違ってこちらはマイルの流れを追走できているのは、エピファネイアのおかげなのか、ルーラーシップのおかげなのか、国枝厩舎の力なのか。

コーナリングも良かったですし、この馬は明らかにマイル向きでないにも関わらずアスコリピチェーノに勝てたのは地力に差があると見た方が良いでしょうね。あちらは血統的にここが勝負でしたから。

オークスではレガレイラとの対決が注目されるでしょうが、私はステレンボッシュが勝つと思います。時計も良いですし負ける気がしません。上がり勝負になってしまうと分からないですが、そこはオッズとメンバー次第ですかね。トライアルも悪くない馬がちらほらいますけど、本命はこの馬になりそうです。

アスコリピチェーノ

2着。健闘しました。

ダイワメジャー産駒なので、もちろん次走はオークスでなくNHKマイルC。ジャンタルマンタルと並んで2強という扱いになるでしょうが、ちゃんと走れたら強いダノンマッキンリーやディスペランツァ、初顔となるボンドガールにエコロブルームやノーブルロジャーなど相当にメンツが集まりそうなので絶対勝てると断言するには至りません。場合によってはゴンバデカーブースやダノンエアズロックまで来るかもしれないわけですしね。

この馬、同じListen(リッスン)の牝系でもDanehill Dancer(デインヒルダンサー)を経由していることもあってマイラー血統でしょうね。どちらかというとペースが流れた方が良さが出ると思います。セットアップやアレンジャーあたりにスローの展開にされる可能性もありますし、ジャンタルマンタルとのポジションの取り合いが重要になりそうです。シュトラウスもいますからね。

クイーンズウォーク

8着。まぁ予想される負けではありました。

川田が言っているようにオークス向きなのはそうだと思います。それでも負けすぎだという意見もあるでしょうが、私は内外の差もあると思っています。内枠なのが余計にしんどかったですよね。中途半端に下げるわけにいきませんし。

オークスではどこまで人気するか分かりませんが、鞍上人気もあって5人気くらいにはなるでしょうか。状態次第ですが3着までなら十分にあると思います。頭はちょっと難しいですかね。個人的には紐までです。

セキトバイースト

7着。よく頑張りましたが、エトヴプレに負けてしまったのは悔しいです。

チューリップ賞は良い走りをしているので、まだどこかで見せてくれるんじゃないかと思います。たぶん結果だしても疑われるタイプの馬ですしね。根気よく追いかけるのがいいと思います。

ライトバック

7人気3着。良い伸びでしたね。
上がり3Fは最速の32.8ということで、豪脚です。

予想記事で「血統的には推せる」と書いたのですが、差しの坂井を信じ切れずに切ってしまいました。いやほんと騎手で切るのはダメですね。何回同じ間違いをするのか……。

もう散々言われていると思いますが、ジャスティンミラノと血統が似ているんですよ。父キズナ、母父Exceed and Excel(エクシードアンドエクセル)、母母父はとばして、母母母父Darshaan(ダルシャーン)も共通しています。

キズナは言うまでもないとして、Exceed and Excelは豪州産のDanehill(デインヒル)産駒。スプリンターで産駒もマイルまでです。Darshaanは平坦中距離の仏国血統で、距離をこなせる血統です。府中の方が良いタイプでしょう。

母母父Street Cry(ストリートクライ)は自身はドバイWCを勝った馬で2000くらいの馬ですが、なんといってもZenyatta(ゼニヤッタ)とWinx(ウィンクス)という二頭の名牝を出したことで有名。2000くらいの活躍馬が目立ちますが芝ダート問わず短距離~中距離まで幅広い適性を示していますし母系にあると頼もしい血統の一つと言えるのではないでしょうか。

私のイメージではこの馬は2000向きだけれども府中なら2400でもというくらいで、ジャスティンミラノは京都なら3000でもという感覚です。ライトバックの方がスピードの要素は高いんじゃないかなと。

皐月賞

今年の皐月賞、良いレースでしたね。

ああいうアメリカンな展開になると馬と騎手の総合力が試されます。いやそうでない展開がダメということではないですが、しかし私はああいうレースは好きです。特にG1ならば。

それでは順番に振り返っていきます。
全頭は厳しいですが、予想記事で言及した馬には触れていきます。

あと、馬券は負けました。

メイショウタバル

本命にしていた馬です。飛びました。最下位でした。

まぁ仕方ないです。完全に掛かってましたね。
負けるならこの形だろうと思っていたままの形でした。

2F目で10秒台になっていますし、道中も緩めていません。それで1000mを57.5は勝てたら歴史的名馬の仲間入りです。まぁ3歳牡馬には無理ですね。

ただ、それでもこの馬は4角まで頑張っていました。一心不乱に逃げたとしても、能力が足りない馬だったら3角とかで交わされてしまいます。素質はやっぱりあると思うんですよね。この走りだとダービーは厳しいかもしれませんが、この先まだまだ追いかけていきたいと思います。

シンエンペラー

2番手評価で挙げました。結果は5着。ようやってると思います。

鞍上の坂井くんが言っているように、現状の実力でしょう。
コスモキュランダとは弥生賞と同じように負けていますし差もそこまで変わりません。レガレイラとの差は位置をとれるかどうかとホープフルと違ってソラを使ってないだけじゃないでしょうかね。この馬に限らず実力はおおむね着順通りじゃないかと思います。

血統的には欧州血統ですし、スローからのロンスパ勝負が本来は得意なはずです。今回もいい感じに運べましたし、強いて言えばもう一列前のポジションが取れれば理想でしたが、そこは坂井くんもジョッキーカメラで入線後に戸崎へ「一番良い位置でしたね」と言っているように分かっていたので操縦性の差ですね。あんまりテンが早いタイプではないんですよ。

ただまだシンエンペラーの底が見えたとするのは早いです。
というのも、シンエンペラーは4月30日生まれ。対して全兄のSottsass(ソットサス)は3月24日生まれと1ヶ月早いんですね。そのSottsassでさえ3歳4月ってG3で5着なんですよ。

もちろん育成環境が全然違うので全く同じ成長曲線を描くとまでは言いませんが、Sottsassが仏ダービーをレコード勝ちするのは6月のことですし、それはシンエンペラーからすれば7月に相当するわけで。

全兄Sottsassも半姉Sistercharlie(シスターチャーリー)も3歳秋から4歳で本格化しているので、まだまだここから上向きます。距離が延びるのもペースの観点からこの馬にはいいでしょうしね。ダービーも楽しみです。むしろこの時期に相変わらず高速馬場のアメリカスタイルのレースでここまでやれているのが、この血統と馬の能力の高さを証明していると思います。

ダノンデサイル

除外でした。3番手に評価していました。

残念ですが、とりあえず軽い打撲だったということで問題はなさそうです。あのしんどいレースを走っていたら悪化していたかもしれませんし無事で何よりですね。まぁ怪しいと思った時点でノリはポツンして回ってくるだけだったと思いますし、馬券購入者としてもWin-Winの判断だったと思いますよ。

クラシックを前にしてゲート目前に断念するのはオーナーも騎手も陣営も悔しいでしょうし、簡単にできる判断ではありません。リスペクトするべきですね。

現地で返し馬を生で見たんですが、馬の仕上がりも走っている姿も、本当に素晴らしかったと思います。返し馬ではこの馬が一番良く見えました。同じくらい良かったのがジャスティンミラノ。あの馬も素晴らしかった。その次がシンエンペラーでその次がジャンタルマンタルって感じです。

もし万全の状態でレースに出ていれば、アーバンシックとの比較から言っても4着はあったんじゃないかと思いますね。たぶんノリならシンエンペラーかコスモキュランダあたりの位置をとっていたと思いますし、馬券どころか勝ち負けまでありえたんじゃないかと。贔屓目にはなってしまいますが、面白い勝負できたと思いますね。

次は何もなければダービーということになると思いますが、そこではまた状態次第ですけど買いたいと思います。

コスモキュランダ

4番手評価でした。そしてクビ差の2着。惜しかったですね~。

この馬、舐められすぎだったんですよ。
たぶんコスモの冠名ってだけで多くの人に嫌われ、次に前走が捲りだったから嫌われていたと思うんですが、私は騎手がモレイラじゃなくても勝っていましたし、それでも3着には来ていたと思います。

予想にも書きましたけど中山2000では安定していい走りをしていて、シンエンペラーに1馬身以上の差をつけて先着しているのは伊達じゃないです。

弥生賞ではレコード、皐月賞でもレコードのクビ差2着。
父アルアインは皐月賞をレコードで勝った馬ですし、父の全弟シャフリヤールも毎日杯の怪物レコードのほかダービーもレコードで勝っています。高速馬場を長い脚つかって押し切る時計勝負こそが本領だというのが改めて明確になった形で、これは今後の育成や馬券購入においてもヒントとなるかと思います。

予想でも書いたように成長力はあると思いますし、ダービーはまだ考えているところですが、この先も期待できると思います。ただまぁモレイラの騎乗は完璧だったので、現状ジャスティンミラノとの差は着差以上にありそうですね。

ジャンタルマンタル

買うか迷っている馬として挙げました。結果買いませんでしたが3着に好走。馬も鞍上も流石だなという感想ですね。大阪杯マテンロウレオのノリじゃないですが、負けただけで完璧なレースでした。

距離は、私は共同通信杯をパドックで見たこともあって少なくとも世代戦の2000ならいけると思ったんですが、皆が言うようにやっぱり1600から1800までの馬なのかもしれません。最後は明らかにしんどそうでしたしね。もちろん1000mを推定58秒台で通過したというのもあると思いますが。

外の前というのは、あのレースではベストポジションでした。
実際に3番手の外を走ったジャンタルマンタルが早め抜け出しで3着。そのジャンタルマンタルの後ろにいたジャスティンミラノが1着。ジャスティンミラノの後ろにいたシンエンペラーが5着。シンエンペラーを最初は内側の斜め後ろから、やがて外に出して交わしていったコスモキュランダが2着。あのゾーンを走った馬が上位独占しているベルトだったんですよ。

理想的な位置取りで3番手先行して、4角回りながら早め抜け出しで一時は突き放しましたが、流石に止まったところで差されましたね。差した2頭を褒めるべき競馬だったと言えるでしょう。仕掛けのタイミングも待ったところで結果は変わっていないと思います。

血統的に言えば、この馬に限らずノーブルロジャーもマイルまでの馬な雰囲気を見せており、走りからしてもPalace Malice(パレスマリス)産駒は母Palace Rumor(パレスルーマー)というよりは父Curlin(カーリン)の方が出ているのかもしれません。
Carlinは自身は2000m前後で結果を出した大種牡馬で、産駒は2000mよりも短く出る馬が多いです。Palace MaliceはベルモントSを勝っている馬ですが、その産駒の適正は2000mまでのマイルが中心だという認識にした方がよさそうですね。

ミスタージーティー

この馬も買うか迷うと書いて結局買わなかった馬ですが、10着だったので買わなくて正解でした。

ポジションを取りに行ったのは私はよかったと思います。追走の時点で大変だったと思いますが、勝ちに行ったがゆえの惨敗は仕方ないでしょう。

たぶん2000mもしんどいんでしょうね。もっと長いところが良いのだと思います。菊花賞に期待しましょう。

レガレイラ

人気だけど消した馬です。6着でした。

人によっては一強とまで言われていたこの馬を自信もって消しましたとドヤりたいところではあるんですが、正直来ても仕方ないなという気持ちで消しました。というか馬券あたっていないんでドヤるも何もないわけですが。

レガレイラだけでなくアーバンシック(4着)もそうですが、ゲートが速くなくてポジションが取れず、脚質が後方からなんですよね。それはこれまでのレースから分かっていたので、今回は厳しいだろうなと感じていました。スローにはならないだろうなと思っていましたし、皐月賞の例年の傾向から言って中山最終週は前で決まりがちだからです。

この馬は2000よりも長く2400の方が良いと思います。それも府中の2400。だからオークスで買いたいんですが、どうせまた人気しちゃいますよね。ましてルメールがチェルヴィニアでなくこっちを選んだら間違いなく1,2番人気でしょう。このさき馬券が美味しいときはないかもしれませんね。

ジャスティンミラノ

こっちは逆に切ったものの勝たれてしまった馬です。

強かったですね。いや強いのは分かっていたんですが、これほどまでとは。

予想でも書いたようにダービーに向けた仕上がりではあったと思うんですよ。+10kgでしたし。ただ戸崎はポジションを取りに行って勝ちにきました。ドウデュースみたいに後ろから運ぶかなと思っていたので、ジャンタルマンタルの後ろを取られた時点でやられたなと。

まぁ戸崎ならポジション取りにいくかもとは書きましたし、外枠なのも良いと書いたんですけどね。そこまで言うなら買えよって話なんですが……。

共同通信杯ではドスローからの瞬発力勝負で、今回の皐月賞ではミドル~ハイなペースの持久力勝負で。それぞれ完勝しているんだから現状は世代の一番手ですね。どっちでも一流の数字を残しているので強いです。

血統的には、母が短距離馬なんですよね。これはおそらく母父の影響で。ただ逆にそのほかの血統は中距離向きなんですよ。上でも書いたように距離はむしろ伸びた方が良いと思っています。ただガチガチの1番人気が予想されるなかで本命にするかどうかは分かりません。

Twitter(現X)には以前この馬の血統について簡単に書いたんですが、ダービーの予想記事でブログの方にも書こうと思います。今回はご勘弁を。

そのほか

アーバンシックはレガレイラに近いですが、鞍上の差ですかね。あとは牡馬牝馬の差。賞金はちょっと怪しかったので、掲示板でダービー出走権が取れたのは大きいと思います。さすがはミスター皐月賞です。

ビザンチンドリームは大幅な出遅れのうえに詰まってるので、コメントすることはないですね。ダービーならもう少し上向くと思います。ただ頭は見えないですかね。

最後に

この世代、かなりレコードを出していますよね。

ペース耐性というところでレース経験や追走力がかなり試されている印象があり、そういうところもノーザン系クラブ馬の不振に関わっている気もします。

米国馬を多く輸入して、日本競馬は追走力が上がり時計も早めてきました。輸入しすぎてダートもかなり強くなったなかで、芝適性を失わずにスピードを更に強化するため豪州血統や欧州平坦血統が活躍しているのが血統的なトレンドと言えると思います。

こういうレース質になるとポジション取りもより重要になってきて、テンの速さなども含めてレース経験はこれまで以上に大事になってきますし、ローテ選択についてもまた考え方が変わってくるのではないでしょうか。ジャスティンミラノは結果として対応できましたが、これまでと1000m通過タイムが全然違いますからね。馬はかなり戸惑ったと思います。

桜花賞は阪神JFと同じ阪神1600ですし、馬場はどちらも早くなりがちです。だいたい同じような条件になるので結果が繋がりやすく直行ローテの成功も見られます。

ただ朝日杯は競馬場も距離も違いますし、ホープフルは同じ中山2000でも暮れの中山と4月最終週の中山では繋がりにくいです。おまけに牝馬とちがって牡馬はダービーを目指すので育成で急がず、ここに向けて仕上げてくる馬が多くはありません。

ホープフルから直行で成功したのって、サートゥルナーリアとコントレイルだけですよね。2頭とも素質が世代で抜けていたので才能で勝っただけですし、そんなに信頼できるローテではないと思います。

今年の掲示板は共同通信杯と弥生賞と京成杯の馬で上位を独占しています。京成杯は昨年ソールオリエンスが成功したこともあって、今後はレベルが上がっていくでしょう。ホープフルと分散できますし、負けてももう一戦してなお皐月賞まで間隔を空けられますしね。

昨年の馬券3頭は京成杯、弥生賞、共同通信杯の勝ち馬によるワンツースリーとなりました。その前の2022年はイクイノックスというUMAは別として共同通信杯や弥生賞を使った馬が、2021年も共同通信杯から2頭と弥生賞勝ち馬による3頭が馬券を占めています。

牝馬は直行でも通用していますが、牡馬の場合はやはり一戦挟んだ方が良いと言えるでしょう。加えて豪州血統は豪州が間隔を詰めて使いがちなところもあって叩いて上昇する馬が多いと思うんですよね、それは逆に言えば直行に不向きともとれるのですが、どうでしょうか。

そしてこういうレース質になることは、モーリス産駒には向くのではないかと思います。ダノンエアズロックも帰ってきましたし、私はまだダービーをあきらめていません。ここからの巻き返しに期待します。

それではまた。

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