感想と学び16作目「ゆるふわ先輩は枕で変わる」

今までインプットをおざなりにして生きてきたことを反省し、アニメや映画やラノベを見てブログに感想と学びを書いていこうと思い立ちました。

そうして始まった【感想と学び】シリーズの16作目、ラノベ【ゆるふわ先輩は枕で変わる】を書いていきます。

ネタバレもちろんあります。作品の説明は最低限にしかしません。


簡単な紹介

田舎の旅館で育った主人公・灰島が高校入学とともに入った部活は枕投げ部。

温泉に行き深夜にトランシーバーを用いながら旅館を走り回ってサバゲー風の枕投げ勝負を行うという部活で、非公式の大会まであるくらいには意外と本格的。

4人の先輩と共に真剣に枕投げに挑み、自身の視聴覚に優れているというスキル【知りすぎた者(セカンドサイト)】を駆使して戦っていく。

先輩の1人であるメインヒロイン・雪葉との恋愛、多様で現実離れしたスキルをはじめとして終始止まらない灰島のツッコミというコメディ、そして熱を帯びていく枕投げの熱戦というスポーツ要素。

灰島の1人称視点で彼らの青春を描いた作品。

3試合という構成

本作は一応スポーツを題材にした作品ということですが、架空のサバゲー風枕投げ試合ということで、味方のスキルやルールを読者に説明する必要がありました。

ゲームで言うところのチュートリアルにあたるような戦いは本作では最初の練習試合で、次の公式戦が挫折、最後の試合が勝利。

34p〜83pが最初の試合。85p〜121pまでが修行とラブコメの第二章。124p〜196pが挫折になる公式戦の1試合目となる第三章。199p〜220pが修行とラブコメの第四章。最後の289pまでが最終戦とED。

いわゆる三幕八章構成で言えば、大体シーケンスは8:11:9、3試合で考えれば5:7:7。主人公とヒロインのイベントは各試合で一度ずつあるほかに、勧誘、修行期間の会話が2回、最後と合計7回。

私もこういう部活ものを書いていたことがある……というかまだ世には出さずに寝かせているものがあるのですが、やっぱり3試合くらいが文庫1冊なら良いのかなぁという気持ちになりました。

試合の外の様子について描写しながら試合における人間関係の進化を描くには、最初にセットアップが必要なのは言うまでも無いことですし、急がないためには残りは挫折と勝利の2試合にならざるをえないのかなと。

ナレーションでスキップしてしまうのもアリなのですが(本作も1試合スキップしています)、対戦相手にもキャラクターが必要になる観点からも制約が発生してしまうので、舞台が狭くなりがちで。

この作品では上手く非公式でかつての友人たちが創部して戦っていると設定されているので、そこの違和感は取り払われていますが。上手いですね本当に……。

感想

面白かったです。読みやすくて、やはりこういうラノベって必要だと思いますね。

ヒロインが暗所恐怖症で、それに対して主人公が視聴覚に優れているから暗闇の中でだけ優劣が逆転するというのは、とても上手いなと思いました。

その視聴覚に優れているというのも田舎の旅館で育ったからと理由づけられていて、その流れが繋がっているのも上手いですよね。文章自体が簡単そうに書かれているから簡単に思えるかもしれませんが、世界の組み立ての部分がかなり綺麗に組まれているなと思うんですよね。

陰キャぼっちは決めつけたいの時も思っていたんですが、この組み立てがすごく勉強になります。

同時発売されている作品については購読できるか分かりませんが、今後も六畳のえる先生の作品は追っていきたいです。

コメント