感想と学び22作目「陰キャの俺が席替えでS級美少女に囲まれたら秘密の関係が始まった。」

今までインプットをおざなりにして生きてきたことを反省し、アニメや映画やラノベを見てブログに感想と学びを書いていこうと思い立ちました。

そうして始まった【感想と学び】シリーズの22作目、ラノベ【陰キャの俺が席替えでS級美少女に囲まれたら秘密の関係が始まった。】を書いていきます。

ネタバレもちろんあります。作品の説明は最低限にしかしません。


簡単な紹介

オタクでエロ好きで頭がそれなりに良い以外に特別な能力もない陰キャな主人公・諒太が、学年でも人気なクラスカースト上位の女子3人の秘密を知ってしまい、それをきっかけに仲良くなっていく話。

ヒロインとしては上述した女子3人に加えて中学からのオタク仲間でもある奏もいる。女子3人の中でも諒太と(奏とも)同じ中学の瑠衣が表紙でセンターということからもややメインという、ヒロイン1+2+1人の構成。

ヒロイン3人にはそれぞれ魅力的な部分があり、実は貧乏な愛莉は元気な妹系の爆乳女子、実はオタクの優里亜は太ももがむちむちなクール系ギャル、実は完璧主義ゆえに中学で唯一自分に告白してこなかった諒太を堕とそうとしている瑠衣はスレンダーで才色兼備の清楚系。

3人の女子はいずれも小学生の頃に少年(諒太)に惚れた過去があり、それを交流の中で思い出すことにより既に全員好きを自覚していると思われる。ついでに奏も諒太のことが好き。

なんやかんやあって仲良くなって交流を深めているが、これといった大きな事件は起こらない、まるでプロローグのような展開。いかにもシリーズ化される作品の1巻目といった具合で、すでに2巻目とコミカライズ化も決まっている。

キャラのアイコン化

S級の美少女3人について妹、ギャル、清楚という属性が振られていて、また身体的にも胸、太もも、へそという風に魅力的な部位が振られています。

主人公の諒太は普通にスケベなオタクなのでヒロインたちの爆乳、太もも、へそ(顔)にモノローグでたびたび言及し、言い方を選ばなければアイコン化しているように感じました。

ラブコメが基本的にキャラ萌えを重視したジャンルであることからも属性は重要ですが、ちょっと過ぎているかなと。まぁ分かりやすいという捉え方もできるんですが、なんか属性が歩いて喋っている感じで、キャラが見えてこないというか。

例えば愛莉は元気溌剌でポジティブな妹系キャラで実は貧乏だけどメイクとか頑張って自分で買って練習して……っていう設定があるんですけど、彼女のポジティブさと爆乳以外はほとんど表に出てこない。貧乏キャラなのにスタバに行くのもミスマッチしている気がして、でもただの元気な妹系の爆乳美少女ならスタバには行くでしょうから、そちらが優先されているんでしょうね。

その貧乏っていうのもじゃあどれくらいかというと分かりませんし、アルバイトしているのも自分のメイク代とかを稼ぐためなら正直不憫な家庭という印象もなく、貧乏を親友に隠す動機が薄くなるような。そもそも貧乏と爆乳の相性も……とここまできたら難癖ですが。

全体的に尺が足りていないんだと思います。だからやっぱキャラ紹介と出会いからの交流(馴れ初め)で半分くらい使ってしまって、一応の山谷に向けて尺が必要になるから掘り下げられない。これはまぁヒロイン4人もいるから仕方ないといえば仕方ないです。

強いて言えばヒロインたちが諒太の家に遊びに来るシーン、あそこでは諒太が過去の少年だったということを愛莉と優里亜が知って恋を自覚するイベントとついでに奏を美少女3人と邂逅させるイベントが発生するわけですけど、そのどこかでもう少し個性を出せていればなと。

感想

面白かったです。いやなんかボロクソに貶してるレビューみたいになっちゃってますけど、全然楽しく読めました。やっぱ女の子が可愛いっていうだけでそれなりに満足します(ラブコメなのでね)。

ヒロイン複数なので主人公が誰を選ぶかみたいな話にもなっていくんでしょうし、全員もう自覚しているからアタックをしていくんだと思いますし、「秘密」をキーにしているからには何かしらそこからも話が動くんでしょうし、2巻以降が楽しみですね。

ただ本当にプロローグというかキャラと作品としての展望だけを提示されたような1巻だったので、構成だとかは2巻目以降を読んでから考えたいかなと思います。

作者のあとがきにある「まじめでクールじゃなくオタクのエロガキでも良いだろ」っていうのは、はなはだ同意ですね。最近の作品は主人公が賢者すぎる。巻き込まれ系の主人公であるならば根っこの部分には魅力を持っておく必要があっても表層的な部分は別にエロガキでも良いじゃんと思います。

主人公に自己投影することに対する冷笑が蔓延した結果、自己投影することが悪いことみたいに思われてしまって忌避が進み、自己投影していないことを証明してくれるかのような優秀な主人公が主流になってしまいました。

でも小説読むなら自己投影したっていいじゃんと思いますね。作者はダメだけど読者は。商業作品だから求められる作品を書くのは大事だと思いますが、求められていると自分が感じていることは他の人も感じていて、だから似た作品ばかりになってしまう。

作者が好きなものって、その作者が世界的変人でない限りは、きっと同じように好きな読者がいるはずなので、そこは自信もって大切にしてほしいと思います。

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