感想と学び26作目「王女様のおしおき係 ~セクハラ疑惑で失脚したらなぜか変態王女のご主人様になったんだが~」

今までインプットをおざなりにして生きてきたことを反省し、アニメや映画やラノベを見てブログに感想と学びを書いていこうと思い立ちました。

そうして始まった【感想と学び】シリーズの26作目、ラノベ【王女様のおしおき係 ~セクハラ疑惑で失脚したらなぜか変態王女のご主人様になったんだが~】を書いていきます。

ネタバレもちろんあります。作品の説明は最低限にしかしません。


簡単な紹介

凄腕の錬金術師の主人公マグヌスが助手にはめられてセクハラ疑惑で失脚すると、そんなマグヌスの変態疑惑を聞きつけた王女アリスがお忍びで訪れ、王族が平民の生活を体験するという風習を大義名分に助手となり「自分にもおしおきをしてほしい」としてSMプレイを要求する。

相手を抱きしめる「抱擁」のカルト宗教が流行っている問題に対して王女アリスと共に対応しながら、アリスが隠し持つ王家の聖なる力をSMプレイで解放していく。

最終的にはカルト宗教の祖も鞭と縄で「おしおき」して解決して終了。

構成の分析

お仕置き、すなわち「躾」がまず作品の根幹にあって、これがフックでもあるしテーマでもある中で、話の起承転結のために用意された敵は「抱擁」でした。抱擁は癒しであり赦しであったので、つまり誰しもが抱える罪に対して刑罰を与えるか赦免を与えるかというところで対にしたわけですね。

一般に刑罰は嫌なものなわけですが、それを苦にしない「変態」がヒロインなのであり、彼女の聖なる力で強化された道具を用いれば敵のレスティアのように気持ちよくなってしまうわけで、刑罰に対する負の印象を払拭しています。

これもつまり反転を使った物語構成で、一般には刑罰よりも赦免の方がうれしい中で、主人公という一般的な感性を持つ人物が刑罰で悦ぶヒロインたちに「お仕置き」を重ねていくという物語にして味付けしているのでした。

感想

主人公は善人ですし、アリスもM気質の変態ではあれど善人で、敵であるカルト宗教の教祖レスティアも善人なんですよね。悪意はなかった。この敵の悪い奴はミーシャですが、彼女は喜ぶことのない「お仕置き」でしっかり罰を受けていますし、この物語ってそれで完結している。

だから主人公が失脚し悪評を広められる原因となるための舞台装置でしかないウェンデイも善人であって欲しかったんですよね。なんかそこだけ胸が救われないというか。これは私が「スカッと」系が好きでないからかもしれないんですが、何年も付き添ってくれた弟子と喧嘩別れしたまま彼女が投獄されているのが落ち着かないというか。

せっかくレスティアを善人にするのであれば、ウェンディに対しても勘違い系にするとか改心して主人公に謝罪して主人公が赦すとか、なんかそういう感じで笑顔で括ってほしかったなと。

好みの問題ではあると思うのですが……。