感想と学び28作目「魔女に首輪は付けられない」3巻

今までインプットをおざなりにして生きてきたことを反省し、アニメや映画やラノベを見てブログに感想と学びを書いていこうと思い立ちました。

そうして始まった【感想と学び】シリーズの28作目、ラノベ【魔女に首輪は付けられない 3巻】を書いていきます。

ネタバレもちろんあります。作品の説明は最低限にしかしません。

ちなみに1巻と2巻の感想はこちらです。


簡単な紹介

電撃大賞作品のシリーズ3作目。人を殺さないと眠れない呪いを抱えている魔女フマフがメインの回。

相変わらず別行動で飄々としているミゼリアに代わってカトリーヌを相棒に捜査している主人公ローグが、正体不明の殺人鬼ポップホップマンによって行方不明となったフマフを探す。

フマフの過去も明かされつつ、ローグは魔女との距離感に頭を悩ませる。

なんやかんやでフマフを回収して敵を倒して終了。

善性の魔女フマフの存在が与える影響

魔女たちは不老の身であり、百年以上生きています。大幅に魔力を制限されている状態ですら簡単に人を殺すことができるほどの力を持っており、彼女たちにとってみれば人間というのは虫けらも同然です。

そして魔女たちは人を殺したことがあると明かされています。それも悪質で、人間の価値観から言えば凶悪な犯罪者。
精神操作を得意とするミゼリアは人を人形のように弄んで楽しむ性格ですし、一見優しい聖女カトリーヌは信頼してくれている人を裏切ることに快楽を見出してしまっている異常者です。2人とも両手では数えられないほどの人を殺していると思われます。

一方でフマフは、彼女も例に漏れず人を殺した過去はありますし人を殺すことに道徳心などの躊躇いもないわけですが、しかし彼女は騙し合い奪い合う世界で生まれ育った境遇が本作で明かされ、悦楽のために人を死なせかねないミゼリアやカトリーヌとは在り方が異なります。

主人公ローグは捜査を進める中で時として魔女たちに少なからず救われており、疎ましく憎むべき対象であるはずの魔女(とりわけミゼリアとカトリーヌ)のことを嫌に思えなくなっています。そしてそのことへの葛藤もあり、またそうはいっても人ならざる魔女であり平気で人を殺せる彼女たちを信用することへの抵抗もありと、2巻以上にローグの悩みは大きくなっています。

そこにおいてローグからすれば信用しやすい魔女として善性を持ったフマフと打ち解けたことは大きいと思います。もともとヤンキーみたいなキャラだった彼女は良くも悪くも単純でしたが、今作で彼女の秘密を一部知ったことで魔女の捉え方がまた変わったのではないでしょうか。

この作品は本質的に圧倒的に優位にある魔女に対して人間である主人公ローグがどう解釈していくかという部分に焦点が当てられていると感じています。フマフとの交流が悩むローグにとって救いになってくれるのではないかと期待しています。

感想

面白かったです。楽しく読めました。怖いしグロかったけど。敵がキモすぎる……。本当にこういうの苦手です。この作品でなければ絶対に読み飛ばしてるシーンばかり。

どこが良かったって、やっぱり私はカトリーヌが好きですね。彼女はこの作品において主人公ローグの次にキャラとしての内面が描写されていて、彼女のことを知れている。だから彼女がアクション起こす時が一番読んでいて楽しいんです。ミゼリアとの会話も楽しいですが、どちらかというとミゼリアとカトリーヌの会話が一番楽しいです。

それからバトルシーンなんですが、魔女たちがバトルに参加してしまうとやっぱり魔女強すぎわろたになっちゃうので、そこは声無しのローグに出来る限り戦ってほしいですね。今作もモブは圧倒していて流石です。

魔女たちが強すぎますが、戦って勝てる勝てないを楽しむ作品ではないですし、そんな魔女たちが味方ながら恐ろしいというところに魅力があるわけで、そこの塩梅はこれくらいでいいかなと個人的には感じています。

まだ続くでしょうし、次はアンジェネですかね? 楽しみにしています。