セレクトセールのエフフォーリア産駒

3歳時には無敗の皐月賞制覇や祖父シンボリクリスエス以来となる3歳馬による秋天制覇、そのまま暮れの有馬記念まで勝って年度代表馬になったエフフォーリア

シャフリヤールにハナ差負けたダービー以外はコントレイルやグランアレグリアにクロノジェネシスと錚々たる面々の先輩(それぞれ万全ではなかったが)を撃破していたこともあり、鞍上の武史とセットで大いに期待された馬でした。

まぁ、その先は皆さんもご存じの結果だったのですが……。

そんなエフフォーリアは5歳の春には繁殖シーズンにも関わらず電撃的なスタッドイン。即満口となり200頭弱の種付けを行ったといいます。

これは、あくまで私の勝手な推測でしかないですが、本当は有馬記念で負けたら引退だったんでしょうね。まだやれそうな気配を見せたから京都記念出ましたが、ファンや出資者(そして関係者)を納得させるためのものだったかもしれません。

というのも、種牡馬には自身の血統や戦績も大事ですが、同じくらいタイミングも大事だと思うんですよ。

ドバイSCも勝ったディープ産駒のシャフリヤールは、コントレイルと値段に差をつければ魅力的な種牡馬です。雨以外で大崩れしない上に全兄ともどもレコード持ちでしたからね。何よりノーザン自前のディープ産駒のダービー馬ですから。
更にはイクイノックスもF4同様に3歳で秋天有馬を勝っていました。

その2頭と被らなかったことは、結果的には幸運だったでしょう。ノーザンFとしても繁殖牝馬の数は限りがありますし、実際エフフォーリア引退の翌年はイクイノックスに良血が集まったのは想像に難くありません。

陰謀論みたいなので強い言葉は使いませんが、シャフリヤールが5歳で引退しなかったことも含めて、種牡馬入りのタイミングを牧場は意識していると私は考えています。


さて、ついつい好きな馬だけに熱が入って前置きが長くなりましたが、そろそろセレクトセールにおけるエフフォーリア産駒について書いていこうと思います。

エフフォーリアの種牡馬能力は?

netkeibaより引用(https://db.netkeiba.com/horse/ped/2018105027/

エピファネイアは菊花賞馬。ダービーで好走している上に古馬になってジャパンCを勝っているので、東京適性も高いです。産駒も早熟性な上に距離をこなせるというクラシック向きの馬が多く、シーザリオの傾向が出ていると言えるでしょう。

母父ハーツクライはサンデー産駒。その母父Tony Bin(トニービン)、母母父Lyphard(リファール)と東京に強い血統を持っています。スピードタイプのMy Bupers(マイビューパーズ)に持続力血統を合わせたことで、クラシックまでは素早さで走り古馬になるとパワーを身につける種牡馬となりました。

エフフォーリアの牝系は良血に入るもので、半妹ペリファーニアも素質を見せているほか、近親にはアドマイヤムーンもいます。

総合すると、サンデーの4×3が特徴的で、中距離以上の東京競馬場が得意、ということになるでしょうか。コーナーも苦手ではないので小回りの競馬場もこなせる可能性が高いと思われます。

弱点があるとすればハイペースでしょうか。
あとダートはどこまでこなせるか分かりませんね。全くダメということはないと思いますが、全体的に芝の方が多そうな気はします。

6頭の初年度産駒たち

セレクトセールの当歳に登場した初年度産駒は6頭。

たった6頭なので、せっかくですし簡単に紹介してみようと思います。

チャイマックスの2024

母父Congrats(コングラッツ)、母母父Storm Cat(ストームキャット)。

今年のダービー馬ダノンデサイルはエピファネイア×Congrats×Forestry(フォレストリー)という配合でしたが、エピファネイアはエフフォーリアの父であり、Forestryはその父がStorm Catということで、このチャイマックスも近しい配合と言えますね。

母父Congratsといえばケンタッキーダービー制覇まであと一歩に迫った馬フォーエバーヤングも同じです。フォーエバーヤングは父母父Storm Catということで、この組み合わせは相性がいいのかもしれませんね。

牝系は叔母に米国重賞好走馬がいるほか、ミッキーアイル産駒の半兄タイセイレスポンスも勝ち上がっているので悪くないです。距離はおそらく2000くらいじゃないでしょうか。

シーソルティキッスの2024

母は三冠牝馬アパパネの全妹という良血。

ハーツクライ産駒の半兄セイウンパシュートは古馬1勝クラスで戦えており、日高の馬としてはやれている方だと思います。

エピファネイア×キングカメハメハのサンデークロスなしの配合だとイズジョーノキセキなどがいて、サンデーのクロスがなくてもスピード不足ということにはならないと思います。

若干や追走力というところが心配にはなりますが、エフフォーリア自身はエピファネイアよりも中距離寄りの馬だと思いますし大丈夫ではないかと考えています。

ヒラボクウィンの2024

半兄ヒラボクラターシュが佐賀記念を、叔父ヒラボクキングが平安Sを勝利している血統です。

母父Wild Rush(ワイルドラッシュ)は日本に輸入されてトランセンドを輩出したダート種牡馬。

全体的に中距離ダート馬の期待が高まる血統構成かなと感じます。エフフォーリアの牝系はダートでの実績もあるので、2歳のうちは芝でも多少走れるようなタイプのダート馬が出てくるかもしれません。

カゼルタの2024

エピファネイア産駒の半姉にフォーザボーイズという先日3歳1勝クラスを勝って東京3戦2勝としている期待馬がいる血統。

母父Harbinger(ハービンジャー)は活躍馬を多く輩出しており、マンハッタンカフェやダンスインザダーク同様に母方にいると頼もしい血統の一つだと思います。

サンデー5・4×3という配合ですが、今後はこれも増えてくることが予想されます。この馬の評価はそういう意味でも注目かもしれませんね。

ダイワドレッサーの2024

母ダイワドレッサーは重賞で2度2着になったことのある馬で、芝の中距離あたりが適性になるでしょうか。

母父ネオユニヴァースはSunday Silence(サンデーサイレンス)×Kris(クリス)という配合の2冠馬。Krisは生涯連対を守った英国のマイラーですが、種牡馬としては中距離傾向にあります。

母母母父はTony Binということもあり、ダイワドレッサーの2024はSunday Silence5・4×3だけでなく、Kris4×4、Tony Bin5×4ということになります。

これまでに生まれている兄姉の4頭はいずれもサンデーフリーの種牡馬がつけられていたのに対し、一転してサンデークロス持ちのエフフォーリアが配合されているのは、単にお得だったというのもあるかもしれませんが、上述したクロスを狙ったのかもしれませんね。

あと単純にシンボリクリスエス×ネオユニヴァースならルヴァンスレーヴがいますし、エピファネイア×ネオユニヴァースならミッキーカプチーノがいますから、その延長線なのかもしれません。(その2頭にあるRoberto(ロベルト)のクロスは本馬にはありませんが)

リッスンの2024

言わずと知れたリッスンの産駒。

セレクトセール当歳の〆ということで、全体の大トリを担うだけに今回の6頭では最も高値が予想されます。ご祝儀も込みで、億は超えてもらいたいですね。

半兄にミスタージーティーやサトノルークスがおり、距離は2000以上になるでしょう。

早くから仕上がるので早期にデビューすることが期待されます。そういう意味でも2歳重賞や世代G1を目指せる馬ですね。

血統としてはやはりサドラーに目が行きますが、まぁ大丈夫じゃないですかね。これは気にしなくていいと思います。そりゃ5×2で血量28%と言われたら少しは身構えますが、血量でクロスを語るのは私は好きじゃないので。

種牡馬エフフォーリアへの期待

まずはセレクトセールで6頭とも売れてほしい。そのうえで億を超える金額が出たらうれしいですね。年度代表馬の初年度産駒ですから、越えてもらわないと困ります。

今年も400万円に値上がりしても即満口になり200頭近い種付けがあるということで、馬産はサンデー多重クロスにとりあえず挑戦してみるようです。まぁ実績と血統に比べて値段が安いというのはあるでしょうが。

エフフォーリアの健康と長い種牡馬生活を願いつつ、産駒のデビューを追いかけていきたいところです。

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