今までインプットをおざなりにして生きてきたことを反省し、アニメや映画やラノベを見てブログに感想と学びを書いていこうと思い立ちました。
そうして始まった【感想と学び】シリーズの11作目、ラノベ【魔女に首輪は付けられない】を書いていきます。
ネタバレもちろんあります。作品の説明は最低限にしかしません。
簡単な紹介
魔術のある世界。
実績ある捜査官・ローグは現場仕事に疲れたため管理職への昇進を申し出る。ただし上司から配属された署長職は、秘密裏に存在する第六分署の署長。構成された捜査官は一人だけという、署長とは名ばかりのものだった。
地下深くにある第六分署では、とっくの昔に捕まって永遠に投獄されているはずの十二人の魔女が、首輪という制限こそあれど自由に生活していた。人間にとって恐怖の対象でありローグ自らも憎んでいる魔女達と捜査することになるローグ。
魔女の一人・ミゼリアと絆を深めつつ、協力的な魔女・カトリーヌの助けも得ながら凶悪な犯罪者を捕まえる。
カトリーヌの裏切りに合いながらも最終的には事件を解決し、ローグは自らの意思で第六分署での捜査を続けることにする。
首輪というアイテム
タイトルにも使われている首輪。逃れられないという意味を持ちます。
ローグは魔女から逃れられないし、魔女は首輪の制約から逃れられないし、カトリーヌは自らの欲求から逃れられない。
そしてその首輪は、魔女には「付けられない」。
結局のところ、魔女たちは飼いならせないという意味合いになるんですね。
加えて、ミゼリアが死んだと思ったローグは彼女の首輪を形見のように持ち歩きます。
そこから首輪には繋がりや結束、円環の意味も持つんだと分かります。
ポジション
感想と学びのブログを書き始めてから、つまりインプットを意識的に始めてから、物語におけるキャラクターの優先劣後を考えながら読む(見る)ようになりました。
今作で言えば、圧倒的に魔女が優位です。ローグは劣位。
魔女に対して首輪というデバフを与えていて、それによってなんとか便利すぎないようにしている。……はずなんですけど、割と魔女が万能であんまり苦戦しないんですよね。まぁそれだけ強いってことで。
メインキャラだとミゼリアが一番優位で、ローグ、カトリーヌという順番。それをカトリーヌが裏切りという形でローグとの順位を入れ替えるのが物語のサプライズになっているんですが、これは瞬間的にでもミゼリアを逆転してほしかったかなと思います。やりすぎですかね。
もう一点。
魔女の首輪には制限を超過すると即死するというものがあるんですが、それがあることによって「死んでもいいから」と行動するフマフの異常性が際立っていて、それは魔女の魔女たる要素は魔力だけでなく精神性にもあるのだという形でカトリーヌの裏切りへの補強というかヒントになっています。これは面白かったです。
大賞に選ばれた理由について
こちらに選考委員の評が載っていたので読みました。
https://dengekitaisho.jp/archive-comment/entry-276.html
目につくのは「読みやすい」ことと「まとまっていること」ですね。プロとして出版するための基礎的な要件は満たしているよという評価は共通していました。
良いところとして主に挙げられていたのは、キャラの掛け合いでしょうか。
これは確かにわかります。
ラノベらしいというか、つかめないミゼリアとの会話は楽しく読めましたし、書いてる側も筆が軽いのかなと思いました。時たま文章崩してましたけど、あれも勢い重視ならありなのかなと。
逆に惜しいところとして挙げられていたのは「慣れている」こと。新人離れしているという評価も同じことかもしれません。後者は褒めていますが。
実際、この作者さんは10作以上も書いているようなので、慣れてはいるんでしょう。単純計算で長文を10作以上書けば100万字は越えますからね。
この慣れているという部分については、私も思うところがあって、正直出し惜しみしているように感じてしまったんですよね。膨らませる余地を残しすぎているというか。編集さんがわざとそうしているかもしれないんですけど(もうシリーズ化が決まっている)、なんか惜しいですよね。
フマフとか出てくる意味合いがあんまりないというか。魔女12人いるのに数人しか出てこないし。なんかそういうのが明らかにこの一冊だけじゃ終わらないよという宣言をされているようで。まぁ、気にならないなら別に良いんですけどね……。
感想
おもしろかったです。
キャラの掛け合いが良かったですね。そこは本当に。
あんまりホラーな感じは得意じゃなくて、作者はそういうのが好きらしいので、そこはちょっとかみ合いませんでしたが。
でも大賞なのは頷けるなというくらい面白かったです。
私も早くプロになりたいものですね。
コメント