感想と学び5作目「許嫁が出来たと思ったら、その許嫁が学校で有名な『悪役令嬢』だったんだけど、どうすればいい?」2巻

今までインプットをおざなりにして生きてきたことを反省し、アニメや映画やラノベを見てブログに感想と学びを書いていこうと思い立ちました。

そうして始まった【感想と学び】シリーズの5作目、ラノベ【許嫁が出来たと思ったら、その許嫁が学校で有名な「悪役令嬢」だったんだけど、どうすればいい?】の2巻目を書いていきます。

ネタバレもちろんあります。作品の説明は最低限にしかしません。

ちなみに1巻目の記事はこちらです。


簡単な紹介

智美と涼子が「絶交」したことから物語が動く。

浩之たち幼馴染3人は前に進むべきだと茜は考え、浩之と数日前に再会した後輩の秀明に浩之と桐生が仲良くしている姿を見せた。

智美のことが好きでいながら我慢していた秀明は怒り、また智美の秘密を明かしてしまう。それを受けて浩之は困惑する。

葛藤を経て前に進むことにした浩之は、涼子とともに仲良し3人組のままでいたいという智美に前に進みたい気持ちを伝える。

そうして涼子と智美から告白されたものの、浩之は首を横に振る。

そのとき頭に浮かんだのは桐生の存在であった。

構成の膨らませ方

私は構成を考えるのが好きなんですが、にも関わらず構成を考えるのが苦手です。
だから今作は非常に勉強になりました。

幼馴染3人の中で既に歪な関係が出来上がっていて、しかしそれを解決しないまま1巻は終了しています。
いつ崩れてもおかしくないのに、「都合の良い歪な安定」を保ってきた3人。それを2巻目で外からテコ入れして崩すわけです。

こういう種をあらかじめ仕込んでおけば、そのままにしても作品として成立するし、後からいじるのは簡単。今回は分かりやすいですが、分かりにくくしておけば「掘り下げ」になりますよね。

これって【響け!ユーフォニアム】ののぞみぞ達がそうですよね。私は原作2巻目(いちばん熱い夏)の何も進んでいないのに一件落着したような終わり方が本当に好きなんですが、そうしてそこでは纏めておいて、久美子2年生編(アニメだとリズと青い鳥)でまた掘り起こしました。

こういう種火を散りばめておくのが構成を組んでいくうえで重要なんだなと。
というか、ちゃんと関係性を整理できていれば後からこうして弄る余地って自然と生まれるんでしょうね。人と人が絡んでいくうえで地雷なんてあちこちに存在している方が自然でしょうし。

おっ、と思ったサプライズ

幼馴染3人の関係性を壊したのは、いったい誰なのか。
その外的要因とは何だったのか。

いつまでも3人ではいられないと智美に告げた涼子なのか、嫌われ役を買って出た茜なのか、浩之に怒って秘密を明かしてしまった秀明なのか。

どれも間違ってはないんですけど、玉突きなんですよね。
秀明が怒ったのは茜にけしかけられたからで、茜が動いたのは涼子と智美が喧嘩したからで。
じゃあ涼子はどうして智美に現実を突きつけたのか。

一番の要因は、桐生なんですよね。
許嫁として桐生が現れて、しかも浩之と悪くない雰囲気になっている。
それが何よりのインパクトでした。

2巻目とかに進んだとき、展開を動かす存在って現れますよね。
今作なら秀明がそうですし、上述したユーフォニアムでは希美がそうでした。
そういうキャラが外から現れて展開を動かす。サプライズを担います。

ただ今作では桐生に戻ってきました。原点回帰なんですよね。
そとから崩されたように見えて、実はとっくにヒビは入れられていたと。
灯台の下を指差すようなサプライズが、すごく素敵だなと思いました。

感想

面白かったです。
この作者さんの文章に慣れてきたというのもあり、1巻よりもスラスラと読めました。

加えて言えば、これは作者さんに聞かないと分からないことですが、2巻目の内容の方が作者さんも書いていて筆が乗っているように感じました。
こっちの方が本当は得意だった、書きたいことだったんじゃないかなと。

もし違ったらごめんなさいね。

3巻目も既に購入しているので、次はそちらを読んでいきます。
楽しみです。

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