超豪華メンバーという言葉は、まぁGⅠ馬の頭数とか近走の充実ぶりから考えるとそうなのかもしれませんが、予想オッズが物語るように混戦模様でもあり、逆に言えば突き抜けたスターがいないということでもあります。
あんまりこういう話はしたくないんですが、アーモンドアイ、クロノジェネシス、グランアレグリア、コントレイル、エフフォーリア、イクイノックス、リバティアイランド、ドウデュースという馬を見てきたことから言うと、まぁ正直彼ら(彼女ら)に並ぶスターホースって……。
そう簡単に現れないからこそスターなんですけどね。
私としてはブレィディヴェーグはここに並べる器だったと思いますが。
馬柱的に期待を集める3歳馬がいて、しかもルメールが乗ると。
彼がおそらく1人気でしょう。
そして前年2着のダービー馬、前走貫禄勝ちの皐月賞馬、宝塚で圧逃劇を見せたレジェンド騎乗の待ちわびたゴルシ後継に、前走負かした馬がともに次走重賞勝利を収めている勢いある牝馬。
ここら辺が上位人気の候補でしょうか。あとは前年3、4着の馬が続く感じかな。
誰が勝っても納得できてしまう構成。ただでさえ古馬のレースというのは血統派のアドバンテージは少なく調教派の方が有利なので、適性や成長力から予想を構成することが多い私のような人間にとっては馬券以前に予想の相性が悪いレースです。
ですが、過去に一度も秋天の予想を書いたことがないことに気づいたので、ちょっと面白めなことを書ければと思って書くことにしました。
ではでは参りましょう。
秋天の傾向と3歳馬の取捨
まずは近年の秋天の前半1000mの時計を見てみましょう。
2024年 59.9
2023年 57.7(大逃げ)
2022年 57.4(大逃げ)
2021年 60.5
2020年 60.5
2019年 59.0
2018年 59.4
24年と20年はドスロー、21年は良馬場発表でしたが雨の影響で高速ではなかったことを思えば、基本的に59秒台前半くらいが平均ペースと言えます。
今回の出走馬の中で逃げ候補はメイショウタバル、ホウオウビスケッツ、セイウンハーデスあたりですが、タバルは今回と同じく豊さんが乗ってドバイターフでペースを落として負けていますし、セイウンハーデスは明良に乗り替わりということでおそらく逃げない。
となるとタバルがスローで入ってビスケッツあたりが番手で構える隊列のまま59秒台後半ではないかなと考えます。
さてこんな天皇賞秋のラップですが、今度は上がりのラップに注目してみます。
ペースがスローであれば32秒後半~33秒台前半、ミドルであれば33秒台後半~34秒台前半、比較的ハイペースでも34秒台が好走できるラインとなってきます。
もちろん位置取りによっても変わってくるところですが、速い上がりが求められることが多く、33秒台の上がりを記録したことのある馬の方が人気しやすいです。
したがって直線まで我慢して直線で足を比べる瞬発力戦の傾向が強いです。
3歳馬はダービー連対してないとダメ?
よく3歳馬はダービー連対馬の成績が良いと言われます。
直近で優勝しているイクイノックス、エフフォーリア、どちらもダービー2着です。少し前だとイスラボニータがダービー2着から秋天3着に来ています。
これに関しては、まずそもそも3歳馬が本気仕上げで勝負するダービーで連対できる馬は世代でもトップクラスの馬であるということが言えますが、それだけでなく高速馬場の適性(早い上がり)、東京コース適性なども関係していると思われます。
そもそも東京2400とは相性が良く、3歳馬以外でも昨年勝ち馬ドウデュースと2着タスティエーラがダービー馬。2021年エフフォーリアの2着にきたコントレイルもダービー馬。ほかにもアーモンドアイがオークス1着、クロノジェネシスもオークス3着、レイデオロもダービー馬。
ただこうして並べると、これらの馬はいずれも他コースでも実績のある馬であり、そもそも能力が高いことに注意が必要でしょう。東京2400は瞬発力と持続力の総合戦であり、能力が高い馬なら格好の付く成績を残しやすいコースです。(だからこそチャンピオンコースなわけで)
一方で前述したように東京2000は瞬発力戦です。これは1800もそうです。
しばしば持続力型は好走するも瞬発力型が及ばず2,3着というケースが多いです。イクイノックスは馬としてのレベルが違いすぎるので除外しますが、エフフォーリア、タスティエーラ、ドウデュースはいずれも瞬発力型です。瞬発力型であるがゆえに好走できました。
同じようにダービー連対馬の成績が良いと言っても、瞬発力がより重要なレースであるという認識が大事だと思います。
モーリスとかラブリーデイとかはもしかしたら瞬発力の印象があまり無いかもしれませんが、レースを見てもらえれば中団前目からあっという間に抜け出している競馬なんですよね。この2頭ともスピードの持続力がありますが、やはり瞬間的な加速力がないと勝ち切るのは難しいと言えるでしょう。
皐月賞で連対してダービーで着外の馬は厳しいという意見もありますが。近年該当するのは3頭です。
ダイワメジャー(喉なり)
サートゥルナーリア(アエロリットの持続力勝負を番手追走)
ジオグリフ(上がり33.6はこの馬の最大値)
それぞれ説明できる内容だと思いますし、例えばサートゥルナーリアは2024年や2021年ならもう少し好走できていると思います。このデータをどこまで信用するべきでしょうか。私はただのジンクスであると思います。
したがって3歳馬を買えるかどうかは瞬発力があるかどうか、で考えるべきだと思います。
東京2000のディープVSハーツ
競馬というのは持続力vs瞬発力の歴史があり、大箱の欧州は瞬発力が重視されトラックの米国は持続力が重視されているわけですが、この2大馬産地から輸入してきた日本競馬ではトラックコースなこともあり持続力型が基本的には優位で、欧州持続力型のディープインパクトと米国持続力型の血統(ストキャとか)が無双してきました。
ただこの天皇賞秋はディープ産駒の鬼門とも言えるレースで、あれだけ国内外で勝ちまくっているのに何と秋天だけ1勝しかしていません。これは母父ディープにまで含めてもそうです。
ちなみに勝った1頭というのはスピルバーグ。兄にGⅠ馬が複数いる良血馬ですが、この馬の母父はLycius(リシウス)という欧州マイラー、母母父はSadler’s Wells(サドラーズウェルズ)、母母母父には凱旋門賞馬Vaguely Noble(ヴェイグリーノーブル)。母方が欧州瞬発力要素てんこ盛りだったわけですね。全兄トーセンラーが京都巧者だった理由もこの欧州色の強さにあると思います。
一方で負けているのは、三冠馬コントレイルに怪物牝馬ジェンティルドンナという最高傑作の牡牝両頭がともに2着。ほか春天馬ジャスティンパレス2着、プログノーシス3着、二階級牝馬グランアレグリア3着、菊花賞馬フィエールマン2着、ダノンプレミアム2着、サングレーザー2着……。
東京2000におけるディープ産駒には惜敗の歴史があるわけです。原因は、何度も書いているように瞬発力戦になるから。前に瞬発力で勝る馬がいるわけですね。
日本競馬における瞬発力と言えばやはり、そのディープインパクトに唯一国内で土をつけたハーツクライでしょう。
このハーツクライは母父に有名な凱旋門賞馬Tony Bin(トニービン)を持つ馬で、あのキングジョージでもあわやの走りを見せたほどの欧州瞬発力を武器にしていました。そしてその力は産駒にも引き継がれています。
例えば2021年。母父ハーツのエフフォーリア1着、父ディープのコントレイルとグランアレグリアを2,3着。瞬発力勝負でコントレイルが追い上げるも届かないというレースでした。
そして最も象徴的なのが2013年のジャスタウェイ。先行粘りこみをはかるディープ産駒のジェンティルドンナ(2着)を、ものすごい切れ味で貫きました。
瞬発力型が抜けだして持続力型が追い付けないというのは他にもたくさん例があるので、懐疑的な方は過去のレースを振り返ってみてください。
なぜディープvsハーツの構図で紹介したかというと、今回も「母父ディープ」の軍団がたくさんいて、なおかつ人気しそうだからですね。そして母父ハーツの馬もいます。
持続力型と瞬発力型、あなたはどちらを信用しますか?
予想人気順のコメント
ちょっと今回は気合を入れて、全頭にコメントしようかなと思います。
(木曜時点、netkeibaさんの予想人気順に書きます)
マスカレードボール
期待の3歳馬。ダービーを連対しているうえに、出世レースの共同通信杯を含む東京コース3戦2勝。しかもルメールに乗り替わるので当日もおそらく1人気。
世代レベルというところで言えばダービー馬クロワデュノールが海外で好走したほか、菊花賞馬エネルジコが定量の新潟記念で2着。いろんな見方がありますが個人的には21,22世代には及ばないと思います。24世代の方が強い気がするけどどうかな、くらいの感覚です。中長距離は充実していますがマイルは正直薄いですね。ここは上がり馬に期待。
さてこの馬の血統ですが、父はドゥラメンテ。ドゥラメンテはアドマイヤグルーヴの子どもで、血統的にはキンカメ×サンデー×Tony Bin×ノーザンテースト。2冠とってる瞬発力型の種牡馬です。
そして母父がディープインパクト。きました。
牝系で言えばルーラー産駒の半兄マスクトディーヴァがいます。彼女は本質的には中距離の馬で、おそらく1800~2200くらいの適性。
瞬間的な加速力には乏しいものの、大きく飛ぶような走りで直線のロンスパで速い上がりを使って走れるタイプです。ひるがえって言えば、瞬発力戦は苦手なタイプです。つまり秋天にドンピシャなタイプではありません。
また、以前この馬に対しては本質的には2000じゃないかと書いた記憶がありますが、それに関しては私が間違っていたと思います。考えを改めて、むしろ2400の馬じゃないかなという考えに今はなっています。
というのもルーラー産駒の姉ですら2000なら、ドゥラ産駒の牡馬なら距離は伸びると考えるのが自然ですし、ダービーでのパフォーマンスも高かったです。
ただダービーのパフォーマンスが良かったと言っても、今年のダービーって瞬発力型のクロワが1着で持続力型のマスボが追い付かなかったレースだったんですよね。これは皐月賞もそうで。
どちらも秋天における持続力型が負けるパターンの典型例。姉も似たような負け方を何度もしてますし、私は2,3着になる線で予想したいと思います。馬券的には2列目。
結論として、適性的にはジャパンカップの方が向いていると思うけれど、斤量優位(斤量は加速に大きな影響があるとされます)なことや高速馬場への高い適性もあり、地力と鞍上で馬券内は有力な候補、となるでしょうか。
注意点として気性がものすごいので、うっかり凡走もありえなくはないのが信頼しにくいところ。瞬発力がないのでルメールは外を回してくると思いますが、もし内に閉じ込められたりしたら飛ぶことまでありえるかもしれません。癖が強いので馬券の妙味から考えても軸には向かないと思います。
ミュージアムマイル
C.デムに乗り替わるのもあって人気は落とすと思っていたのですが、想定2人気ですか……。ダービー連対してないところが嫌われて、もうちょっと本番では人気落とすと思います。
(追記:金曜でも2人気とは……)
血統は父がリオンディーズ。これは朝日杯を気持ちよくぶっこ抜いたシーザリオの子。瞬発力がありますがシーザリオの種牡馬の中では瞬発力に偏っていない方という印象です。
そして母父ハーツクライ。同じ3歳馬のなかでもディープvsハーツの代理戦争があると。これは楽しみです。
母方はHappy Trails(ハッピートレイルズ)の牝系。この牝系からはチェッキーノなんかも出ているようにクラシックに強いことで有名で、大一番でドカンと走れるタイプ。比較的仕上がりも早めなのはこの馬にもその影響が感じられます。
(なおクラシック後に燃え尽きたように走れなくなる馬も少なからずいますが、本馬は大丈夫そうです)
瞬発力×瞬発力の足し算配合。母母父French Deputy(フレンチデピュティ)は持続力型ですが、そのさきの母母母父ノーザンテーストは瞬発力型で、瞬発力戦に強いタイプ。だから皐月賞を勝ったのも納得ですし、秋天でも有力候補と言えるでしょう。
前走セントライト記念でも余力残しの仕上げで外を回し完勝。鞍上もテン乗りではないですし、非常に強力です。ただ懸念点があるとすれば高速馬場適性で、朝日杯は道中動いたとはいえ上がりで突き放されてしまっており、ジオグリフのように上がり32秒台を求められる展開になれば伸びきれない可能性があるかなと思います。
まぁでもCデムはフランス競馬の騎手で瞬発力戦には慣れているでしょうから、何とかしそうです。
メイショウタバル
枠が外になったみたいなので、たぶん人気落とすでしょうね。もともと逃げ馬って秋天では嫌われる要素ですし、いくら豊さんでも2桁オッズにはなるでしょう。当日に雨でも降れば話は変わってきますが。
血統は父ゴールドシップ。説明不要かとは思いますが、宝塚記念などを勝っている名馬で持続力型です。同じステマ配合(ステイゴールド×メジロマックイーン)でも、オルフェとドリジャがステゴ的なのに対してゴルシはマック色が濃いです。これは馬体重にも表れています。
この馬の血統を過去に説明していることを思い出したので引用します。
血統の話をしましょう。
父ゴールドシップ
母父French Deputy(フレンチデピュティ)
母母父ダンスインザダーク
母母母父Crystal Glitters(クリスタルグリッターズ)まずゴールドシップって重馬場は別に得意じゃないんですよ。
日高の繁殖をつけていることもあって相対的に時計がかかった方が良いというだけで、重馬場よりも稍重や良馬場の方が成績良いです。荒れている馬場は走れますが重い馬場と速すぎる馬場は苦手です。French Deputyは持続力型の馬です。
French Deputyはダービー馬マカヒキの母父というのが考えやすいです。あとはクロフネですね。クロフネ経由でソダシでもいいです。パワーを抱えていて、それがスピードの維持に貢献します。ダンスインザダークも持続力型の馬です。
自身も菊花賞馬、産駒もザッツザプレンティなど菊花賞馬を輩出しており、基本的にはスタミナに寄与します。ただスピードも十分にあるので、重いということはありません。Crystal GlittersはBlushing Groom産駒で、イスパーン賞を連覇したスピード血統。
日本に輸入されてマチカネフクキタルなどを出しています。フクキタルもそうですが中距離で速い上がりを使える産駒が多いですね。スピードを証明するように日本最速のカルストンライトオの母父でもあります。なぜ母母母父まで紹介したかというと、そのCrystal Glittersが影響しているんじゃないかと思うからです。というのもメイショウタバルは毎日杯のラスト2F目で10.9という数字を出していて、これはなかなか出せる数字ではないんですよ。しかもゴルシ産駒ですからね。
私はBlushing Groomって凄い好きで、この馬はキタサンよろしく後ろからでも面白いと思うんですが(気性的に無理でしょうけど)、何にせよ単調なスピードの逃げ馬ではないと思います。だから天皇賞秋に向いているというほどではないけれど、好走してもおかしくはないだろうというのが私の見解です。
もっとも上がりの最高速がやはり一流の中だと足りていないので、ドバイターフの時みたいに溜めすぎたら差されてしまうでしょうし、勝ち負けするならアエロリット的な逃げでしょうか。
でも外枠だと何なら逃げないという選択肢もあって良さそうですよね。豊さんのコメントが勝負気配ではなかったし(やる気がないという意味ではありません)、私も勝負するなら有馬だと思っているので。
タスティエーラ
前年2着のダービー馬。香港を勝っての凱旋レースとなります。
前走海外と言われたら少し身構えますが、半年前の話なので関係ないでしょう。そしてこの堀厩舎はモーリスのように鉄砲で平気でGⅠ取れる厩舎なので、この間隔自体は減点要素としなくて良いと思います。この馬自身、菊花賞もダービーから直行で2着ですしね。
父サトノクラウンは香港勝ちもあるグランプリホース。天皇賞秋でも重馬場とはいえ2着に来ており、ダービーも上がり最速3着と総合力の高い馬でした。
母父マンハッタンカフェは菊花賞を勝っているドイツSライン牝系の晩成持続力型の馬で、スピードを長持ちさせるのが得意です。種牡馬としてはサンデーからキンカメディープが現れる前にリーディングサイアーとなったこともあり、母父マンカフェはダンスインザダークやキングヘイローらと同じく母方に入って頼もしい血統と言えるでしょう、
母母父French Deputyに母母母父ノーザンテーストというのはミュージアムマイルと共通しています。そしてこちらはクラフティワイフの牝系で、この牝系からはカンパニーやトーセンジョーダンが出ています。2頭とも天皇賞秋を勝っている馬なんですよね。
晩成中距離の牝系に持続力型と瞬発力型を交互に配合している血統ということで、これは下振れると器用貧乏的な武器を探すのが難しい馬になってしまうんですが、この馬の場合は上振れているので万能型といえます。マリオのゲームでいうところのマリオ。
持続力勝負でも瞬発力勝負でも戦えるので、状態さえ整っていれば安定した成績を残すことが出来るでしょう。どちらかと言えば瞬発力タイプで、ただ父同様に32秒台や33秒前半の上がりは苦しいと思うので、先行して粘りこむスタイルで勝負するのが良いです。レーンはぴったりですね。
シランケド
オレハマッテルゼ級の珍名馬。ただその実力は折り紙付きです。
なんとデビュー3戦目で勝ち上がってから馬券を外したことのない安定っぷり。重賞実績は牝馬限定がメインですが、それでもVM3着は能力を見せていますし、牡馬相手にも3勝クラスでリビアングラスやグランドカリナン相手に上がり最速で完勝。さらに前走の新潟記念では別定の好メンバー相手に上がり最速で完勝。
Declaration of War(デクラレーションオブウォー)の産駒ですが、この高速馬場への高い適性はこの馬の売りでしょう。33秒台前半や32秒台の上がりとなる展開ならこのメンバーでも上位なことは疑いありません。
なお母父はディープ。基本的には持続力勝負で戦っていたのですが、ここへきて上がり勝負で牡馬相手に目覚ましい脚を見せつけているわけで、この変化はちょうど天皇賞秋を勝ったときのラブリーデイみたいで、本格化を感じさせます。
牝系は北米からブラジルにうつって実績あるみたいですが、未勉強なので分かりません。遡っていくとSir Ivor(サーアイヴァー)とかいますね。勉強になります。
勢いある牝馬なので迷わず買いと言いたいんですが、調教に関しては前走より見劣りするというのがいろんな競馬記者もコメントしているところなので、ピカピカの馬体で出てくることはなさそうです。
鞍上は武史に乗り替わりで、コンビとして合わないということはないと思うんですが、テン乗りがプラスに働くかは分かりません。
ブレイディヴェーグ
馬の格という点から言えば、私はこの中でもタスティエーラと並んで1,2を争うものがあると思います。使い分けでマイルを走らされていなければ、もっとやれていたはずです。
血統はカナロア×ディープ。つまり持続力の足し算配合なのでこの馬も超持続力タイプだ……と見せかけて、この馬の場合は牝系がMusical Way(ミュージカルウェイ)。
Musical Wayの牝系からは2冠牝馬ミッキークイーンや今年3歳のショウヘイが出ています。高い瞬発力を受け継いでいる牝系のため、この馬は持続力種牡馬との掛け算配合。万能瞬発力型と言えるでしょう。
高速馬場適性も高く、過去には東京1800の府中牝馬Sを32秒台の上がりで圧勝。この時はペースが流れて持続力勝負となりましたが、それでも加速力の差でマスクトディーヴァに0.3秒勝っています。今回はマスクトの弟が1人気ですが、果たして。
ようやく戻ってきた2000の適距離。不適なマイルですら牡馬の一流マイラー相手に4着に走れるのは地力の高さを思わせますし、ドバイターフや新潟記念はカナロア産駒の暑さへの弱さを考えれば度外視可能で(新潟記念は外差し展開で内走らされてましたし)、馬柱を考慮しても3,4人気くらいでないといけない馬ですよね。
今回は調教も絶好で、騎手もこれくらいの人気だと覚醒する戸崎。牝馬復活に定評ある鞍上とともに本来の輝きを取り戻すときが来たものと思います。そして天栄。秋天といえば天栄です。
懸念点があるとすれば、あまりにも見えすぎていること。穴馬と呼ぶには見えすぎていて、こういう馬って結構来ないことがあるんですよね……。まぁでも印には絶対入れた方が良いと思います。見えすぎている馬を買わなくて後悔するならもう見る意味なくなりますから。
クイーンズウォーク
川田がロードデルレイ回避前から選んでいた馬。重賞3勝のVM2着ときているので、GⅠに王手がかかっているとも思えますね。
血統はキズナ産駒。半兄にFrankel(フランケル)産駒のグレナディアガーズ。Harlington(ハーリントン)にあるUnbridled(アンブライドルド)の早熟さを持ち、タイプとしてはSilver Deputy(シルヴァーデピュティ)的な持続力が売りです。実際、後傾ラップより前傾ラップの方が得意でしょう。桜花賞で沈みオークスで好走しているのが示しています。
適性としては通常の天皇賞秋には不向きだと思いますが、仮にタバルが流したりビスケッツが4F勝負に持ち込んだら話は変わってきますよね。状態は悪くなさそうですし、余裕があれば3列目には入れてもいいのではというところです。
懸念点としては前回放馬している気性の部分。秋天はスタンド前発走でない分だけマシかもしれませんが、やはり何もない馬に比べると順調さに傷があるのは怖いです。
ホウオウビスケッツ
この馬は持続力型だと思われていますが、私は先行瞬発力型でないかなと思っています。早いペースよりも溜め逃げから4F勝負するのが勝ちパターンで、前傾ラップより後傾ラップで結果を出していることに注意が必要です。
高速馬場の適性はそこまで高くないので、毎日王冠で出している33秒台後半がこの馬の最速だと思います。ただしこれは秋天の好走水準を満たしているので、前に位置を取れることもありこの馬は東京1800,2000で戦えているというわけです。
父Mind Your Biscuits(マインドユアビスケッツ)はDeputy Minister(デピュティミニスター)の直系でありクロス持ちなことからも持続力型とみられますが、私としては瞬発力型だと思っています。実際、産駒はみんな溜め逃げで結果を出している馬ですしね。
母父はルーラー、母母父はディープと持続力配合が並びます。牝系はManfath(マンファス)で、これはキンカメの牝系ですね。力強さが求められる馬場でも戦える下地、と言えるでしょうか。
大阪杯と札幌記念はともに持続力勝負になってしまい、状態も整いませんでした。今回は追切もすごく良く見えましたし、昨年3着が展開利だと思われすぎて舐められていそうなので、抑えた方が良いと思いますね。
アーバンシック
春クラシックでは期待されており、ルメールに乗り替わって完勝。まぁでもセントライト記念は不自然なくらいに内をするする通れて周りの騎手がどうなのという感じでしたし菊花賞もごちゃごちゃをごっつぁんした形で、適性的には菊向きとは思いません。
近走では有馬で包まれて負け、日経賞と宝塚記念は馬場が渋って負け。大箱の府中で直線外をのびのび走らせてあげれば、百日草で見せたような脚で穴をあけられるかもしれません。
血統的にはスワーヴリチャードの産駒でグランプリホースのレガレイラとほぼ同血。ただレガレイラとは馬体重が40kg近く差があり、レガレイラと違ってこの馬は中距離馬でないかと思います。
ダービーは気性でレースになっていませんでしたし、今回追切も悪く映りません。天皇賞秋と言えばノーザンファーム天栄で、今回の天栄はアーバンシックとブレイディヴェーグ。この2頭がどちらも馬券に絡まないということは、あるのでしょうか。
ジャスティンパレス
ずっとGⅠを走っている馬で、この馬自身のことはもう十分に分かっていると思います。今さら血統に関してどうこう考えるのもナンセンスでしょう。
今回は昨年と違ってCWで調教できているのが良いかなと思います。
ただもう6歳ですし、残り秋三戦のどこで勝負をかけるかと言えばジャパンカップでしょう。能力的には持続力勝負ならまだ戦えると思います。それなりのパフォーマンスを残せれば次走を楽しみに待てるかなと思います。
セイウンハーデス
ジャスティンパレスと同じ6歳ですが、こちらは長期休養もあってフレッシュ。今がピークとすら思います。
さらに2000mはドンピシャ。過去4戦して3勝2着1回。馬場が重くないとダメとも限らず、良馬場でも勝てる馬です。前走のエプソムCでは故障明けてから初めて追切をちゃんと行えたという状態で完勝。高い能力を見せました。
懸念点としてはやはり高速馬場の適性。父シルバーステートですし、33秒台とかのレースは苦しいのではと思います。持続力勝負でなく瞬発力勝負になるのも苦しく、能力は高いですが適性面からは推奨しにくいですね。
エコロヴァルツ
ブラックタイド×キングカメハメハという血統。その先もA.P. Indy(エーピーインディ)ですし、持続力型ですよね。
悪くない走りはできてますし高速馬場にも対応できているんですけど、やっぱ大舞台では一つ足りていない感が否めない存在ではあります。
まだ4歳秋ですし変わり身があるかもしれません。とりあえずここは堅実な走りを期待しようと思います。
ソールオリエンス
3戦3勝、無敗の皐月賞馬。そこからかなり苦しむ時間が続いていますが、毎回脚は使えていますし雨が降れば届くと思うんですけど、いかんせん位置を取れないこともあって遅刻する競馬になってしまっています。
血統は父がキタサンブラックの母Skia(スキア)。Rainbow Quest(レインボウクエスト)的な一瞬の脚は光るものを持っていますけど、この馬に関してはやはり展開待ちかなという感覚ですね。直線まではなるだけスムーズにじっとしているのがいいでしょう。
丹内に乗り替わりということですが、これは有馬なり香港なりでも継続なのでしょうか。
コスモキュランダ
個人的に好きで応援している馬。
現土曜昼時点で最低人気なのですが、状態は整っています。
血統は父アルアイン、母が豪州GⅠ馬Southern Speed(サザンスピード)の良血馬。父アルアインってダービーでも天皇賞秋でもそこそこ走れていますし、この馬も持続力勝負なら戦えると思うんですよね。
右回りに成績が偏っているのはコーナーがある方が瞬発力勝負になりにくいからで、今回もしタバルがペースを流した場合は分かりませんよ。
……もっとも、それならそれで他の持続力タイプが前を走っていそうな感もありますが。
ただ調教では陣営からも「馬が変わっている」というコメントが出ているように、変わり身を予感させています。もし買うなら、ここなのかもしれません。この人気に鞍上津村で東京のGⅠ。どこかで見覚えあるってテンハッピーローズも言ってます。
(現時点での)印
というわけで前日時点での印です。
◎ブレイディヴェーグ
〇ミュージアムマイル
▲マスカレードボール
△ホウオウビスケッツ
☆タスティエーラ、アーバンシック
狭く買うならブレイディ軸、当てに行くならBOXですかね。
☆をつけた2頭のうちタスティは状態不安、アーバンは適性不安。
三連複を買うなら、三列目はもう全にして荒れるのを願っても良いかもですね。最近の天皇賞秋って堅い決着が続いていますけど、それは年度代表馬や顕彰馬級の馬が出てきていたからであって、今年はそのレベルの馬はどうなのかなというところなので、荒れ予想も悪くないと思います。
まぁ、ルメールは来そうですけど。
終わりに:ロベルト不在
ロベルトいないの残念ですね。エピファもモーリスもいない。ロベルト好きとしては残念ですが、面白そうなメンバーが揃っているので今年は気楽に楽しみたいと思います。
現役だとデサイルがいますし、今年の2歳はエピファが好調。来年にはエフフォーリアの産駒が、その先はピクシーナイトやジャックドールの産駒もデビューするわけで、またロベルトに東京のGⅠを取ってほしいなと思います。
