昨年、エフフォーリアの初年度産駒がセレクトセールに出てきたので、当ブログで簡単に紹介しました。
結果はどうだったかというと、大トリを務めたリッスンの2024で1億3200万。
セレクトセールの会場では合田さんがわざわざ「エフフォーリア産駒がおすすめだ」と語ったといいますが、それでも1.5億は超えませんでした。悪くはないですが、年度代表馬の初年度産駒としては、もう一声くらいは欲しかったなというのが正直な感想です。
まぁそこは気持ちを切り替えていきましょう。馬産なんて走ってみないと分からないものですから、始まる前からコントレイルやイクイノックスと比較しても仕方なし。
さてさて今年は1歳馬と当歳馬がセレクトセールに上場してきているわけですが、1歳馬は12頭、当歳は9頭もいました。全部で21頭なので流石に全頭紹介はちょっと諦めるとして、ノーザンファームから出てきている1歳馬4頭、当歳馬4頭を紹介しようと思います。
なおセールとしては1日目に1歳、2日目に当歳となるのですが、初年度産駒の方が重要なので、今回は当歳→1歳の順番に紹介させていただきます。
当歳馬4頭の紹介
エフフォーリアにとっては2世代目となる当歳の紹介です。
クロトノーナの2025
母クロトノーナは未勝利のまま引退していますが、その母がクロノロジスト。あのノームコアとクロノジェネシスの母であるということで、本馬から見れば怪物牝馬姉妹は叔母ということになりますね。
血統はエフフォーリア×ルーラーシップ×クロフネ、SSの5・4×4のほか、Tony Bin(トニービン)も5×4のクロスがあります。ルーラーもクロフネも持続力型の血統で、エフフォーリアは瞬発力型なので上振れ期待の配合です。
興味深いのはノームコアもクロノジェネシスも初仔がエピファネイア産駒なことで、つまりノーザン的にはこの牝系にエピファは合うと思っている可能性が高いんですよね。もちろんその時にエピファが流行っていたのはあるんですが、GⅠ複数勝つレベルの馬で流行だけの配合を試すとは思わないですし。
エフフォーリアは言うまでもなくエピファの子ですし、楽しみにしたいと思います。
ベルダムの2025
こちらも母ベルダムは未勝利引退ですが、祖母がDonna Blini(ドナブリーニ)ということで、母ベルダムはジェンティルドンナの全妹ということになります。つまり本馬から見れば貴婦人は叔母です。
したがって母父ディープインパクトでありSSの5・4×3なわけですが、何度も書いているように馬産はこれは許容ラインとしているようです。
注目すべきはエピファネイアの半兄が2頭いて、どちらも中央で勝ち上がっているということ。ミッキースターダムとサトノブリジャールですね。エフフォーリアはエピファ産駒なので、この血統の相性の良さには期待したいところです。
牝系的にはおそらく成長は遅めが予想され、私はエフフォーリアに対しても母父ハーツクライの影響がありそうだなと感じているので、成長遅めの中長距離馬となるのではないかと考えます。東京向きかなと。
リザーブ価格は3000万。ノーザン生産の当歳4頭だと1番高いのはこの馬ですね。
ソパーズレーンの2025
母は3戦して未勝利引退。祖母Wavell Avenue(ウェイヴェルアベニュー)はBCフィリー&メアスプリント勝ちもあるGⅠ馬で、母としてグレナディアガーズやクイーンズウォークを出しています。輸入繁殖ですが勢いがあるので牝系を拡大していきそうです。つまり本馬からするとグレナは叔父ですね。
血統はエフフォーリア×ロードカナロア。母父カナロアはまだまだ未知数なところがありますが、祖母Wavell AvenueにRaise a Native(レイズアネイディヴ)の多重クロスがあること、カナロア自身がミスプロ系ストキャ持ち短距離馬なこと、そして母ソパーズレーンは3戦ともマイル以下を使われていることから、この馬も長くて2000となるでしょうか。
早くから走れればいいのですがエフフォーリアがあまり数を使う馬ではなかったように脚がやや心配なので、ゆっくり使っていったほうが結果が出せそうな感じがします。グレナのように2歳から活躍してくれたら嬉しいですけどね。
初仔のようなので母としての能力はお試しですが、勢いある牝系なので期待したいところですね。
シングルゲイズの2025
母である豪州牝馬Single Gaze(シングルゲイズ)はコーフィールドC2着などの実績を持つ中距離牝馬。母として輸入されて産駒が3頭デビューしていますが、25世代のドゥラメンテ産駒の馬が先日ようやく未勝利を勝ったのみで、現時点では母としての能力は期待を上回っていません。
母父Not A Single Doubt(ノットアシングルダウト)はDanehill(デインヒル)系Redoute’s Choice(リダウツチョイス)の産駒。競走馬としては三流くらいの成績でしたが、父としても父の父としても豪2歳最速馬決定戦のゴールデンスリッパーSを制覇している一流の種牡馬です。
その先は豪州らしい血統。Tom Fool(トムフール)系にStar Kingdom(スターキングダム)系と現在の日本競馬からは縁遠い馬達で、正直このあたりは私もよく知りません。南米とかもですけど南半球はかなりトレンドも違うので勉強すれば面白いんでしょうけどね。
ドゥラメンテ産駒の半姉が1600で勝ち上がっているあたり、距離は短めになるのかもしれません。無難に1600~2000と予想しておきましょうか。エフフォーリアの産駒で1400とかっていうのはあんまり想像しづらいので……。
1歳馬4頭の紹介
エフフォーリアにとっては初年度産駒です。
ミディオーサの2024
母ミディオーサは中央2勝。その母はMi Sueno(ミスエーニョ)。米国GⅠ馬であり日本において繁殖牝馬で活躍しています。ミアネーロやショウナンザナドゥのほか、先日もモノポリオがデビュー勝ちを収めました。勢いある牝系ですね。
米国色の濃い牝系に母父ディープであることからも持続力型となる可能性は高い一方で、エフフォーリア自身は瞬発力型でしたから、そこが上手く上に振れればという感じです。
リザーブ価格は3000万。この牝系だからというのもあるんでしょうが、自信あるのかもしれません。
シャンティローザの2024
母シャンティローザは中央3勝クラスでも馬券に来ている実力馬。牝系をたどると四代母にドイツAラインのAllegretta(アレグレッタ)がいます。ちょっと遠いですけど良血ですね。
血統はエフフォーリア×ダノンシャンティ×El Prado(エルプラド)。
ダノンシャンティはフジキセキ産駒で上がり自慢の中距離馬。El Pradoはサドラー系の欧州馬ではありますが北米リーディングにもなったほど米国で成功しており、サドラーというだけで重い扱いをするべきではありません。
瞬発力型のエフフォーリアとの交配なので、これも東京コースなどで高速馬場になった時が楽しみになってきますね。距離は母のように2000くらいでしょうか。
デスティノアーラの2024
ディープ産駒の母は未勝利。未勝利戦の期間が終わっても距離延長して2600mの1勝クラスに出走していますし、馬体重がかなり小さかったようなのでディープらしい(というかWind in Her Hair(ウインドインハーヘア)らしい)ステイヤータイプだったのかなと思います。
本馬も1歳馬ながら6/20時点で404kgと公式に発表されているので、小さめの晩成ステイヤーということになるでしょう。それでもセールに出てくるということはデビューすら危ぶまれるという状態ではないのでしょうし、期待はしておきたいです。
血統はエフフォーリア×ディープインパクト×Hawk Wing(ホークウィング)。
Hawk Wingは強い相手に惜敗しながらもGⅠを3勝している欧州馬で、ミスプロ系ですがWoodman(ウッドマン)経由ということもあり中距離馬です。近親では叔母に愛オークス馬Covert Love(カヴァートラヴ)がいて、やはり本馬の適性も2400以上が濃厚かもしれません。
リリサイドの2024
初年度産駒の中でもかなりの大物繁殖。あのリスグラシューの半弟です。リスグラシューはハーツクライの産駒でありエフフォーリアは母父ハーツなので、嫌でも大きく期待してしまいますね。
2つ上の半兄ネブラディスク(父ドゥラメンテ)がセレクト1億7600万、1つ上の半兄(父リアルスティール)は1億780万。この馬にも是非とも億越えは望みたいところです。
6/20時点で馬体重は424kg。もともと遅めの牝系ですしデビューはゆっくり待つことになるかなと思います。そういう調教が得意な厩舎に入ってほしいし、それに応えられる馬であってほしいですね。
2年連続でトリ!
「リリサイドの2024」のリザーブ価格は0円。そうです。初日1歳馬のトリです。
(※最初と最後は0円で期待馬が出てくるのが慣例です)
昨年はリッスンの2024が当歳のトリ(つまりセリの大トリ)に選ばれましたが、今年は初日のトリを任されたということで、初年度産駒が2年連続でトリを飾ることになりました。
年度代表馬の初年度産駒というのもありますが、そうは言っても古馬になって勝ちのない300万の種牡馬としては大きな待遇ですし、これは期待感の現れと思いたいのがファンの心。
評判も現時点では上々ですし、上にはコントレイル下にはイクイノックスと強敵がいますが、是非とも産駒たちにGⅠを勝ってほしいですね。