今までインプットをおざなりにして生きてきたことを反省し、アニメや映画やラノベを見てブログに感想と学びを書いていこうと思い立ちました。
そうして始まった【感想と学び】シリーズの21作目、ラノベ【イマリさんは旅上戸】を書いていきます。
ネタバレもちろんあります。作品の説明は最低限にしかしません。
簡単な紹介
顔の怖さとそれに伴う学生時代のトラウマによって、捻くれて愛想のない社会人となった主人公・橋広。
ゲームのバグ探しをする会社に勤めている橋広は年上の先輩・今里に恋をしており、また同時に橋広は年下の後輩・須崎に想われていた。
会社の宴会で普段は今里を誘った橋広だが、実は今里は仕事こそ優秀だがお酒に強くなく、酔うと旅に出てしまう旅上戸なのだった。
今里を呼び戻すという名目で振り回されつつ橋広は閉鎖的な毎日の外側を新鮮に感じていき、また今里が酔った時のギャップにも慣れていく。
なんやかんやあって良い感じになって、終了。
若すぎるような……?
真っ先に気になったのは、登場人物の年齢です。
社会人同士のラブコメなんですが全体的に極めて若いんですよね。
お酒を飲ませないためなのか未成年。ほぼ高卒の新人です。
メインヒロインの今里もサブヒロインの須崎も合わせて、3人とも20歳前後。
ヒロインはどちらも「年上のお姉さん」なのだから、正直に言ってしまうともう少し年齢高くても良かったかなと。
仕事のできる今里、お酒に強い2人、といった設定において、この若さがちょっとネックになりかねないというか現実離れしているというか。
いやまぁラノベだし気にするなと言われたらそうかもしれませんが、私としては別に20代半ばくらいはあっても良かったと思いますね。それともやっぱヒロインは若ければ若いほど人気が出やすいみたいなデータがあったりするんでしょうか。
金欠設定は……
これは明確に、私はない方が良かったと思っています。
主人公の橋広は一人暮らしですが生活が苦しく、倹約しながら家と会社を往復する毎日で、誰かと交流することもなく休日も図書館で借りた本を独書する日々でした。
彼が行動的でない内向的な性格であるための設定なのかもしれませんが、橋広が金欠かつ倹約家であることが、正直に言ってしまうとネックというか読んでいて引っかかりました。
橋広が内向的であることには学生時代のトラウマや愛想のなさが十分に説明になっていますし、今里に連れ回されることに対して彼が抵抗する動機も別に内向的な性格で且つインドアだからで納得できるんですよね。
倹約家であるのに数千円も会社の業務外で使わされることや、最終的にお金をもらうとしても今里が橋広の分の交通費を負担しないことが気になってしまって、これは要らなかったかな。
なんていうか、連れ回される系の作品って連れ回されている時にストレスが少ない方が良いと思うんですよ。連れ回されているということ自体がストレスなので(個人の意見です)、金欠なのにとか、受験生なのにとか、本当はライブに行きたかったのにとか、そういうストレスって無い方が気持ちよく振り回されることができて嬉しいです。
構成の分析
「感想と学び」シリーズにおけるマンネリ化やネタ切れを防ぐために、構成についての分析をしていこうと思います。試験的なものなのでしれっと次の投稿では消えているかもしれませんが。
分析といっても凄い何かではなく、各キャラの属性とストーリーとの関係性、どうやって話が組まれているかを考えていくことで自分が組み立てる側になるための勉強になるかなというものです。
今回だと主人公は諦観に満ちています。周りに避けられているし時間もお金もない。彼がバグを探す仕事をしているのは、そんな閉塞感ある日常から今里との旅による「壁抜け」をすることに掛けられていました。
作中で語られる「知らない世界を見にいく」ことによって物が違って見えるという打破をテーマに据えています。
プロゲーマーを目指していながら諦めと失望によって現職にきた今里にとって飲酒は世界を壁抜けするためのもので、壁抜けした結果が旅上戸でした。
対して橋広にとっては今里の旅上戸が壁抜けにつながり、そうして壁抜けした結果が「おもろい顔」であり笑顔、つまり楽しさなのでした。
飲酒によるギャップというキャラ萌え要素がラブコメ的な主軸で(サブヒロイン須崎も酔拳的な要素があります)、そのお酒をうまく使って旅に繋げ、作品全体では日常を飛び出すことにより新たな視点を得ることをテーマにする。
そういう構成だったから、主人公は内向的であったのだなと。
今里は酔うと旅をするのだからギャップのために普段はインドアゆえにゲーム好き、ヒロインのバランスから須崎はアウトドアにして登山好き、そうして高尾山が舞台になる。
こんな感じで逆算していくような分析が、物語の構成や画面の構図の勉強になるのかなーと思って最近は意識するようにしています。分析というか、解体ですね。
感想
おおむね面白かったです。
女の子は可愛いし、主人公のMなところは私にはあまり共感できませんでしたが、理解はできたのでついていけました。
そもそも酔っ払って他者に迷惑をかけるというのが個人的に好きではないので、どうしてもそこで今里さんに減点がついてしまって、だから私としては須崎さんの方が好きですね。
まぁ、この前の記事でも書いたように、須崎さんは「一本道ラブコメの作品に登場する分かりきった敗北者」なわけですが……。
作中で深大寺そばとか多摩川とか出てきて、大学時代(中退してます)に調布に一人暮らししていた私にとっては、結構親近感の湧く内容でしたね。初めて多摩川に出た時は私もちょっと感動したんです。
空、広いなって。
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