牝馬が1番人気になった皐月賞。
キズナ産駒待望のクラシックホースが誕生し、期待が高まった戸崎のダービー制覇。
それを阻んだのは皐月賞を直前で回避したベテラン横山典弘とダノンデサイル。
二冠に視界良好とされた菊花賞ではルメールがアーバンシックを春の悔しさから解放しました。
レコード決着の皐月賞、後半6F最速のダービー。Harbinger(ハービンジャー)ついにクラシック制覇。血統の観点からも語るポイントも多かった24世代のクラシックを、私が年初に書いた下記のクラシック番付の記事を元に振り返っていきます。
番付を振り返ろう
まずは番付を貼ります。
牡馬 | 番付 | 牝馬 |
---|---|---|
ダノンエアズロック ジュンゴールド | 横綱 | チェルヴィニア |
ゴンバデカーブース ミスタージーティー シンエンペラー | 大関 | アスコリピチェーノ レガレイラ |
ジャンタルマンタル アーバンシック ダノンマッキンリー | 関脇 | タガノエルピーダ ステレンボッシュ ルシフェル |
ダノンデサイル シュトラウス エコロヴァルツ | 小結 | サフィラ ボンドガール |
トロヴァトーレ バードウォッチャー ニュージーズ ビザンチンドリーム べラジオボンド | 前頭 | アルセナール ミエノジュピタ |
※1、芝クラシックを意識したものなのでダートは含みません。
※2、三役(大関・関脇・小結)以上は1勝クラス以上を走ったことのある馬に限定しています。新馬だけの評価は難しいですし2戦以上走って結果を出した馬に対するリスペクトのつもりです。
※3、牡馬と牝馬の番付の横の比較はある程度は意識していますが絶対ではありません。
まず言わせてください。
「ジャスティンミラノいなくて草」
評価できる点
牝馬の横綱チェルヴィニアは2冠牝馬になってくれました。
まぁこれは昨年秋の時点で明らかに世代屈指の実力者でしたし、あまり誇れるようなことではありませんが。
ただHarbingerとして、そしてDanzig(ダンジグ)系全体でも初のクラシックを取ってくれたことは、このブログの開設初期にDanzig系の記事を書くくらいDanzigが好きな私としては嬉しかったです。
桜花賞で大敗してもオークスでは人気しました。鞍上がルメールだからというだけで買った人もまぁ少なからずいたんでしょうが、日本の競馬ファンって世界で一番上手いと思います。
牡馬の大関シンエンペラーは、勝利こそできていませんが弥生賞&ジャパンCで2着、皐月賞5着、海外遠征でも健闘し、ダービー3着。期待通りに素晴らしい血統と馬体を証明する走りを見せてくれました。
この馬を一貫して高く評価してきたことは24世代クラシックにおいて最も誇れることかなとおもいます。「欧州」➡︎「重い」とか「凱旋門で通用する」➡︎「日本で通用しない」みたいなのは血統を語っているうちに入らないと声を大にして言いたいです。
そしてMiswaki(ミスワキ)好きとしても、この馬の走りは嬉しかったですね。本当に素晴らしい血統ですよ。主流に反する能力を伝えるがために直系では栄えずとも、主流に反しているからこそ主流との合流で革新的な仕事をしてくれる。そういう馬の名前を忘れられないように語り継いでいくのもまた血統派の役目かもしれません。
牡馬なら小結ダノンデサイルも、やはりダービーで本命にしたので評価できるポイントでした。偶然ながらPOG指名していましたし。いやこれは本当に偶然ですが。
記事を書いた時点では正直ここまでの器とは思っていなかったのですが、皐月賞の返し馬でびっくりしました。誇張抜きに輝いて見えて、これは強いと。マジで走るぞって息荒くなったので除外は残念でした。
しかしそこから更に驚いたのがダービーの1週前追い切り。とんでもない時計で、これは本当にダービーあるなと。本番はノリの完璧なエスコートもありましたが後ろをちぎっているから馬も強かったです。
菊は残念でしたが有馬も向かい風を考えれば強い競馬で、陣営のコメントこそ不安なものの、この馬の能力は凄いものがあると思います。
エピファネイアだとエフフォーリアが既にスタッドインして人気していますが、この馬はサンデークロスを持たないという点で彼とは大きく異なります。当然ながらサンデー産駒の肌馬をつけることができて、母父Congrats(コングラッツ)はフォーエバーヤングにも見られることから嫌われないでしょうし、とにかく種牡馬としても楽しみです。
反省点
牡馬の横綱ジュンゴールドを中心に、ペース耐性というものをあまり考えられていなかったかなと思いました。
特に皐月賞ではとにかく流れが速くて、こうなると追走力のない馬は勝負の土俵にも立てないというか、前の馬が落ちてくるのを願うしかない他力本願な競馬になってしまいます。物理的に、後ろの馬は前の馬よりも位置の差の分だけ速い上がりを使わないと勝てないので……。
ただ、じゃあ速ければいいかというとそれも逆で、今度は共同通信杯のようにスローからのヨーイドンになると我慢できなくて直線で既に力が残っていなかったり、単純に加速力やトップスピードの違いで脚を余してしまったりと残念なことにもなりがちです。
クラシックで結果を出したジャスティンミラノ、ジャンタルマンタル、ダノンデサイル、ステレンボッシュなんかはどちらの展開でも戦えていますし、やはり世代戦ならどちらでも戦えるタイプは強く、そうでないならチェルヴィニアやシンエンペラーのように特化した上で騎乗を工夫しないといけないなと。
あとはシンプルに、レースを繰り返し見たりラップと血統を交互に見て比較したりと、かけた時間が短かった。今年(25世代)の記事ではしっかりと時間をかけて多くのレースを見た上で書いたので、多分24世代よりは精度が上がっていると思います。特に前頭の部分ですね。
全体を通しての感想
各レースについてはそれぞれ予想と振り返りの記事を読んでいただくとして、全体で語ると個人的には満足できました。予想しがいもあったし、ドラマ性もありました。
ただ菊花賞だけは、菊花賞だけはちょっと……。
これ言うと反感あると思うんですが、やはり菊花賞は2500くらいにした方がいいんじゃないかなと思います。
そもそも有力種牡馬で3000実績があるのって少ないですもんね。カナロアもモーリスも短距離で、繁殖牝馬でも2000より長い距離の実績ある馬なんて少ないですし。
欧州は以上に短距離志向ですが、あっちは別路線としての長距離路線が用意されていますし、セントレジャーはもうほぼクラシック扱いされていませんよね。2冠とっても狙わないレースになっています。
3000でしか走れない馬にはそもそも種牡馬としての期待がなされていない現実、3000を走るために生産されている馬は極めて少ない現実、3000が距離適性である馬は少ない現実。
菊花賞の振り返り記事で書きましたが、古馬の春天なら良いと思うんですよ。距離適性のない馬が無理やり出てくることは稀ですし、ちゃんと長距離実績ある馬が集まるので距離短縮しなくていい。
ただ菊花賞は、悲しいかなクラシックの意義である種牡馬選定レースとしての役割をもはや果たしていると思えません。まだ3歳春に1200のGⅠを開催する方が有意義だと思います。
菊花賞の前哨戦たるセントライト記念(中山2200)も神戸新聞杯(阪神2400)も、ともに京都3000につながると思えないんですよね。皐月賞には弥生賞があってダービーには青葉賞があるのにです。
騎手の駆け引きが見られる長距離戦は好きですが、3歳に走らせる必要があるかについては、議論されても良いのではないでしょうか。
同時に海外重賞でテンのスピードが違いすぎるのを見ると、3歳限定のスプリントGⅠがあって良いなと、そう思います。
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