言うに及ばず、日本競馬の中心たる社台SSの来年の種付料が発表されました。
https://shadai-ss.com/cms/wp-content/uploads/2024/11/2025r7AjxNhd_2n_SSS.pdf
値段に関して、Twitterでも言及しましたが当ブログでもざっくりと書いておきたいと思います。的外れなことを言うかもしれませんが、そのとき何を考えていたのか記録することは反省の材料にもなりますからね。
なお私は競馬業界関係者でも血統や馬体の専門家でもないので、素人が好き勝手言ってるなと温かい眼差しで見逃してください。
キズナ ついに2000万!
上りつめましたね。今年の1200万円では止まらず、来年はいよいよ2000万円。
今年は産駒ジャスティンミラノがついにクラシックを制覇し、待ちに待った牡馬中距離の大物を輩出。短距離にも毎日王冠を制したシックスペンスがおり、長距離には燦然たる実績を残しているディープボンドと後継候補も充実してきました。
もともと牝馬ではソングラインやアカイイトも出していますし、名実ともに大種牡馬ディープインパクトの筆頭後継ということになりましたね。(※現時点で)
元々はノーザンではなくノースヒルズの生産。いわば外様のディープ産駒のダービー単冠馬なので、初年度の種付料は250万円でした。それが350万円、600万円、1000万円、1200万円と上がっていき、ついに2000万円。
種牡馬の評価における指標の一つにノーザン生産馬が何頭いるかというのがあるんですが(それほどまでにノーザンFの繁殖の質は高いので)、キズナは少なかったんですよね。
世代 | キズナ | エピファ | モーリス | カナロア | キタサン | ドゥラ |
---|---|---|---|---|---|---|
2020世代 | 13頭 | 29頭 | ー | 35頭 | ー | ー |
2021世代 | 11頭 | 29頭 | 43頭 | 38頭 | ー | 34頭 |
2022世代 | 14頭 | 22頭 | 40頭 | 57頭 | 25頭 | 41頭 |
2023世代 | 9頭 | 36頭 | 37頭 | 52頭 | 23頭 | 38頭 |
2024世代 | 32頭 | 31頭 | 50頭 | 40頭 | 11頭 | 33頭 |
モーリス好きの私が、なぜモーリスに対して種牡馬としては辛口評価しているかも分かっていただけると思います。キタサンブラックが今年のクラシックではいまいち存在感なかったのも、原因の一旦はここにあるかもしれません。クリスマスパレード出してますけどね。
ちなみにスワーヴリチャードは現3歳世代は22頭、対して今年まだ低調な2歳世代は10頭。まぁこの10頭という数字を大きいと思うか小さいと思うかは人それぞれですが。
例えば日高の種牡馬であるゴールドシップなんかは全世代で4頭しかいない(そのうち2頭は来年デビュー)ですし、モズアスコットも現2歳と1歳に1頭ずついるだけ。それに比べたら恵まれた立場ではありますよね。
さらに余談ですけどゴルシのデビュー済み2頭のうち1頭はマカオンドールです。
話を戻してキズナ。見てわかるように待遇は24世代から全く変わっていて、それがそのままクラシックという結果にも繋がりました。ジャスティンミラノ、シックスペンス、クイーンズウォーク、いずれもノーザン生産馬です。
(比較的)不遇な立場から高いアベレージで結果を残し続け、繁殖の質が強化された途端に大仕事をする。そういう種牡馬が日本競馬を代表する存在として最高値を付けられたことは、私は素直に祝福したいなと思っています。
エピファネイア まさかの値下げ
エピファネイアはエフフォーリア以降に数年苦しんだこともあり一時期の人気には翳りが見え、残念ながら満口になりませんでした。
種付価格も基本は需要と供給で決まるので、今年1200万円に値下がりになってしまったのも頷けなくはないのですが……。
いやでもしかし、エピファネイアが1200万ですか。
既に牝馬三冠馬や年度代表馬を出していますし、早熟な上に距離適性もマイルから長い距離まで走れます。今年は桜花賞とダービーという牡牝クラシックの最重要レースをそれぞれ獲得、VMと宝塚記念という古馬GⅠも取って既に4勝。大舞台での強さは折り紙付きだと思うんですけどね。
値上げしないのは分かるとして、そのまま1500万でも今年は人気したと思います。ダービーでしっかり着差をつけて完勝していますし、今年はむしろ「やっぱり大舞台ならキズナよりエピファだよな」という印象が強まりました。
ナダル 1000万!
思い切りましたね。1000万て。
今年は300万なので、なかなか無い跳ね上がりです。ただ前年にスワーヴリチャードを見ているだけに比較的ショックは軽減されているような、いないような。
うーん、これは正直上げすぎですよね。いやもちろん個人の感想ですし、ほぼダートだけで2歳リーディングを戦えるくらい初年度産駒が走っているのは間違いないわけですが。
単純な勝ち上がり率以外にポジティブなことを書けば、まず馬格があること。それから日本の主流血統に対して血統の被りが少ないこと。スピードがあって海外も望めること。
そもそも私だって、デビュー前から「ナダルは人気そこまでだけど走ると思う」とTwitterでは言ってきたわけですよ。300万円なら第二のドレフォンになれると思っていました。産駒の評判も良かったので、500万~600万くらいにはなりそうかなと。
ただ1000万はやりすぎでしょう。あのSinister Minister(シニスターミニスター)や、芝のクラシックに毎年1頭送り出しているDrefong(ドレフォン)でさえ、高くても700万円。この2頭より高いということは、これは海外のダートGⅠに挑戦できるレベルじゃないとダメですよね。
現場のプロが判断するに、今年の2歳や既に生まれている1歳や当歳に、それだけのものが期待できる馬がいるということなのかもしれません。もう既に満口らしいですし手応えはあるんでしょう。
そのほかの馬
エフフォーリア、サリオス、シュネルマイスターは変わらず。満口でも変わらないということは、牝馬を集めたいということなんでしょう。
特にエフフォーリアは後輩に似たような戦績のジャスティンミラノが登場、同じシーザリオ持ちのサートゥルナーリアも2歳で好成績ということで、人気が分散する可能性を考慮したのかもしれません。まぁ既に満口ですが。
社台からの移籍はNew Year’s Day(ニューイヤーズデイ)のみ。成績もそこまで悪くなかったんですが、まぁダート需要を加味してということでしょうか。
サトノクラウン残留はやはり昨年ダービーをとったからですかね。ダービーを目指すのが馬産ですし。レイデオロは高額時代の産駒がまだセリに登場するので、プッシュしてきただけに減額してでも移籍は踏みとどまったということでしょうか。
コントレイル1800万は満口だったしセリでも売れてるから。ちょっと期待が大きすぎて不安になるくらいです。
Siskin(シスキン)は300万なら、まだ安いかな。ダノンキングリーはお得感ありますが受胎率とかに問題があるみたいなので微妙。ルーラーシップはフリーリターン特約が切れるということで、年齢的にも来年にはプライベートなのかもしれませんね。
おまけ:ミラノ300万円らしいね
今年の皐月賞馬にしてダービー2着のジャスティンミラノは、ブリーダーズSSにて300万円でのスタッドインとなりました。
社台SSでないことに関しては、まぁ噂されているような事情が影響している可能性はありますが、憶測でしかないので何も言うべきではないですね(言っているようなものですが)。
300万円という価格自体は、エフフォーリアが初年度300万円だったことを思えば妥当じゃないかなと思います。むしろ実績だけなら高いくらいで、ただ父キズナが2000万円なので、そこを考慮しての300万ですね。
このキズナ-ミラノ親子を考えると、私は母父キングヘイローのディープボンドも種牡馬入りがあっても良さそうに思えます。例えばバスラットレオンとかも、シックスペンスが種牡馬入りするまで時間もあるわけですから30万円とかの格安枠なら面白そうですが、どうなんでしょう。
抜けたキズナ、追うものは現れるか
大種牡馬ディープインパクトを失った日本競馬。
熾烈を極めるディープ後継争いの中ではキズナが抜け出し、そのまま種牡馬界でも王に成り上がりました。
キタサンブラックはまだ覇権を握るには至らず、コントレイルとイクイノックスはデビュー前。スワーヴリチャードは疑心に駆られ、エピファネイアも信頼回復には時間がかかりそう。
果たしてディープ後継の座を守り、発展させていくことはできるのでしょうか。
外様ながら駆け上がったキズナを讃えつつ、確実に波を予感させているダートの熱にトレンドの変化を感じながら、種付頭数を楽しみに待つことにします。
コメント